恋愛トラブルで民法の超基本を学ぶ!!3つの典型CASE!!《民法の勉強法》

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《じっくり読んだときの読了時間》: 1216

 

『彼氏の子供が出来てしまった』トラブルで学べる民法の基本

学べる民法

《恋愛トラブル》ケース

CASE No2!! 中絶と民法

【20代後半男性】

 交際していた女性と別れて2週間ほど経過したあと、妊娠中絶にかかった費用を請求されました。
 
 病院での付き添いを申し出ましたが、応じてくれませんでした。
 
 中絶の同意書には友達の名前を署名して手術したそうです。
 
 はっきりしたことはわかりません。

 中絶費用の領収書なども全くありません。

 こんな状況でも、中絶費用を払わなければならないのでしょうか?

ここで学べる民法の基本をピックアップ

 
 このケースの話は、本当によく見かけます。
 
 悲しい話ですから、ケース1と同様にネタにするのは不謹慎かもしれませんが、勉強できることは多いため、悩みましたが取り上げてみました。

民法の基本をピックアップ

  • 契約は成立している?
  • 契約が成立していなくても費用を半額(満額)請求できる?
  • 《応用》不法行為について

契約は成立している?

 
 このケースで、男性が、治療費を負担しなければならない民法上の根拠として考えられるのは、契約です。
 
 例えば、この男性が、事前に『妊娠中絶の治療費は、全額負担する』と約束していた場合には、別れた女性からの請求に応じる義務は、民法上あることになります。
 
 (取り敢えずややこしいので、契約書などの証明の話は割愛します)
 
 でも、どうやらそういう約束は無いようですので、男性には契約に基づく治療費の支払い義務はありませんね。
  

契約が成立していなくても費用を半額(満額)請求できる?

 では、契約がなくても、女性は、妊娠中絶の治療費を請求できるのでしょうか?
 
 ここで、『同意書』の存在が、気になります。
 
 ケース2では、同意書は別れた彼女が勝手に書いたものでしたから、この同意書とケースに登場する男性は無関係です。
 
 でも、例えば、男性が同意書に自分でサインしていた場合はどうでしょうか?

 この場合も、妊娠中絶の治療費を負担する義務は発生しません。
 
 同意書は、あくまで中絶に対しての同意であって、費用負担とは無関係ですから、同意=費用負担の構造にはなりえません。
 
 う~ん。 
 
 困りました。他にないでしょうか?民法上の請求権の発生原因。

《応用》不法行為について

 ここまで、契約や同意書や、いろいろ検討しました。
 
 実は、これ無駄なようで、民法では極めて大切な検討手順です。
 
 民法は、いろいろ請求の方法を考える癖をつけないと攻略が極めて難しい法律科目です。
  
 無駄なようですが、いろいろ検討するという姿勢も、民法の超基本です。
 
 『民法では、とにかくいろいろと請求権の発生原因を検討する!!』ここで勉強できるのは、この特徴です。
 

 さて、契約以外に請求の根拠となりそうなのは、『不法行為に基づく請求』です。
 
 つまり、別れた女性が、ケースの男性の不法行為を理由に、損害賠償(妊娠中絶の治療費)を請求できるかどうか?という話です。

 妊娠中絶の治療費は、女性が一方的に負担を負う事例が多かったため、問題が指摘されていました。
 
 ここまで検討した、契約を根拠とした考え方はどうしようもありませんから、不法行為を理由になんとか請求を肯定できないか?議論されていたそうです。
 
 そなとき、下のような判例が出ました。

 ここは応用中の応用なので、興味がなければ、すっ飛ばしちゃってください(笑)
 

《参考判例》

東京高等裁判所 平成21年10月155日 控訴審判決

【主文】

 当裁判所も、被控訴人の請求は、控訴人に対して114万2302円及びこれに対する平成20年3月4日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからその限度でこれを認容し、その余の請求は理由がないからこれを棄却すべきものと判断する。

【判決要旨】

 胎児が母体外において生命を保持することができない時期に、人工的に胎児等を母体外に排出する道を選択せざるを得ない場合においては、母体は、選択決定をしなければならない事態に立ち至った時点から、直接的に身体的及び精神的苦痛にさらされるとともに、その結果から生ずる経済的負担をせざるを得ないのであるが、それらの苦痛や負担は、A男とB子が共同で行った性行為に由来するものであって、その行為に源を発しその結果として生ずるものであるから、A男とB子とが等しくそれらによる不利益を分担すべき筋合いのものである。
 
 しかして、直接的に身体的及び精神的苦痛を受け、経済的負担を負うB子としては、性行為という共同行為の結果として、母体外に排出させられる胎児の父となったA男から、それらの不利益を軽減し、解消するための行為の提供を受け、あるいは、B子と等しく不利益を分担する行為の提供を受ける法的利益を有し、この利益は生殖の場において母性たるB子の父性たるA男に対して有する法律上保護される利益といって妨げなく、A男は母性に対して上記の行為を行う父性としての義務を負うものというべきであり、それらの不利益を軽減し、解消するための行為をせず、あるいは、B子と等しく不利益を分担することをしないという行為は、上記法律上保護される利益を違法に害するものとして、B子に対する不法行為としての評価を受けるものというべきであり、これによる損害賠償責任を免れないものと解するのが相当である。
 
 A男は、父性としての上記責任に思いを致すことなく、B子と具体的な話し合いをしようともせず、ただB子に子を産むかそれとも中絶手術を受けるかどうかの選択をゆだねるのみであったのであり、B子との共同による先行行為により負担した父性としての上記行為義務を履行しなかったものであって、これは、とりもなおさず、上記認定に係る法律上保護されるB子の法的利益を違法に侵害したものといわざるを得ず、これによって、B子に生じた損害を賠償する義務があるというべきである

 (なお、その損害賠償義務の発生原因及び性質からすると、損害賠償義務の範囲は、生じた損害の2分の1とすべきである)。

【判決認容額114万2302円の内訳】

女性の精神的苦痛 200万円(いわゆる慰謝料部分)
●治療費等68万4604円
●合計268万4604円
双方平等に折半して負担するとして、金134万2302円
これに弁護士費用10万円を加算して、金144万2302円。
男性が中絶費用として、すでに30万円を渡しているので、
144万2302円より30万円を控除して、金114万2302円。

 

 最高裁の判例ではありませんが、不法行為に基づいて男性の責任を肯定しています。
 
 不法行為を原因とする請求は、なかなか認められませんので、どのようなケースでも男性に請求出来るか?と言われるとそうではないそうです。
 
 ただ、この判例は今までの流れを変えるものと言われているそうです。
 
 まぁ、ここは、凄い応用なので、ご興味があれば、読んで見ましょう。

少し難しいけど、民法で大切なこと

 民法は、『契約による請求権(債権)の発生』と『不法行為による請求権の発生』と大きな2つの流れがあります。
 
 2つの請求権が発生する原因があるという話は、本当に大切で、ここで是非覚えてもらいたい話です。
 
 民法には、『大きく2つの考え方の違う、請求権の発生原因があるんだな』という点を覚えておきましょう。
 
 一般には、このケース2で検討してきた手順と同じように、『契約』⇒『不法行為など』の順で検討していくことが多いですね。

 
 

別れた恋人から、『贈り物を返せ』と請求された

防止なんてしたくない

《恋愛トラブル》ケース

CASE No3!! プレゼントと民法

【20代女性】

 先日、3か月程交際していた男性に別れを告げました。

 その際、今までのプレゼント代を返してくれとも言われました。

 彼は、それなりに覚悟しながら付き合ってきたそうです。

 私にご飯をおごってくれたり、プレゼントなども結構してくれました。
 
 『プレゼント代を返してほしい』と言われましたが、返さなければならないのでしょうか。

ここで学べる民法の基本をピックアップ

民法の基本をピックアップ

  • プレゼントは民法のどの契約に当たる?
  • 返却しないとダメ?

プレゼントは民法のどの契約に当たる?

 恋愛で恋人からもらう、プレゼント。
 
 これ民法上ではどういう法的評価をうけるのでしょうか?
 
 民法には、13の典型契約というものが存在します。
 
 これは、できれば、全部覚えなければなりませんが、始めのうちは、気にする必用はありません。
 
 この典型契約の中で、『贈与契約』というのがありますが、プレゼントはこれにあたります。
 
 これは、民法の超基本中の基本です。
 
 民法の事例が出てくれば、そのトラブルが民法上何に当たるのか検索し、該当したもののの特徴を踏まえて考える!!
 
 超基本です。

返却しないとダメ?

 
 贈与に当たることは分かりました。
 
 この贈与に当たると、プレゼントされた方は、既に貰ってしまったモノを、返却する義務を負いません。

 贈与は、履行が終わった部分については撤回できませんから、既にプレゼントを上げるという履行が完了していますので、もう返却してなんて言っても相手が応じなければ無駄です。
 
 このケース3の話でも、女性は応じる必要はありません。
 
 細かいですが、ここも超基本なので覚えておきましょう!!
 

最後に

 
 お疲れ様でした。 

 この記事では、民法を身近に感じる足がかりという役割を目指し、記事を書いてみました。
 
 どれもありきたりのケースなのでイメージしやすいと思います。
 
 ちょっと民法が身近になったと思えれば、勉強の導入としてはまぁ成功かなと思います。
 
 それでは、この記事はこのくらいで。

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最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

学鬼
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