1時間で民法がわかった!皆が勉強する基本中の基本14項《家族・親族法編》【行政書士・法律資格用】

公開日: : 最終更新日:2014/07/17 Ⅰ:資格全般, 法律系科目対策, 法律系資格全般 , ,

Sponsord link
My contents


sponsord link
《じっくり読んだときの読了時間》: 1434

1)親族・家族法【続き!!】

民法親族・家族法

6)日常家事と表見代理

家族・親族は暗記中心だが、ムズカシいところもある

 さて、ここまでは、民法家族・親族法のさわりでした。

 この分野は、主に暗記で突破することになる分野ですが、この分野にもいくつか分かりにくい法律の論点があります。

 これら分かりにくい論点はいずれも、民法総則・物権法・債権法と関連する論点ですから、難解なのもうなずけます。

 ただ、民法総則等をしっかり勉強していればそれらを応用することでクリア出来ますので、肩肘張る必要はありません。

 『総則とかをしっかり勉強してまた見直せばわかるさ』くらいの気持ちで問題ありません。

 そんな、難解な論点の第一として、『夫婦の日常家事』に関する論点をまず書いていきます。

sponsord link

夫婦の日常家事の法定代理権について

 この論点を攻略するためには、代理の分野をしっかり理解している必要があります。
 
 ここをザッとでも確認していない人は、まず代理に関する分野をしっかり勉強しましょう。

 まず、民法は、夫婦の間で、日常家事に関する代理権を認めているとするのが通説です。

 つまり、夫婦生活を円滑に営む上で必要な日々の家事に関しては、夫は妻を代理でき、妻は夫を代理して第三者と契約をすることができますよということです。

 民法は、夫婦生活を円滑に営むために、夫婦間相互に法定代理権を付与したのですね。

夫婦の日常家事代理権の問題点

 この日常家事代理権で問題となるのは次のような場合です。

 法定代理権を行使して、妻が第三者と夫名義の家を売る契約をしたようなケース。

nichijyoukajidairikenn

 夫に黙って妻が夫名義の家売っちゃったんです。

 こんな契約は有効なのか?という問題ですね。

 つまり、『家をうっちゃう』という契約は、果たして夫婦の日常家事の範囲と言えるのか?(日常家事とはどういうことか?の解釈が問題になる)

 こういう論点です。

 なぜこれが、論点になるかと言うと、この契約が無効となってしまえば、妻の契約の相手方である第三者がかわいそうだからです。
 

もっと深く理解する

 
 当該売買契約の目的物である『家』は夫名義であり所有権は夫にありますね?
 
 ということは、妻は家について無権利ですから、妻の契約相手は当然に所有権を得ることはできません。
 
 でも、夫と妻は夫婦なのですから、外から見ても妻に権利がないということは、分かりにくいですよね?
 
 もしかすると、『この家の売買は夫から了解をもらっているんだな』と思ってもおかしくはありません。

 にもかかわらず、夫から『いや~あれ妻が勝手に売っちゃったんですよ。だから、契約なかったことね』なんて言われちゃたまりません。
 
 妻から家を買った第三者は、不動産屋さんで、その家を他の人に売っちゃってた場合などは大損害です。
 
 だから、この第三者を保護できないか?という話になるのです。
 
 そして、第三者を保護するための民法上の条文の根拠として『日常家事』の条文を持ってくるのです。

 そして、妻のした第三者との契約が、夫と妻の夫婦の日常家事の範囲と言えるかどうかで、第三者が家を手に入れることができるかどうかの結論が変わってきます。
 
 そこで、『日常家事』がどういうものなのか?という定義が問題になってくるのです。

日常家事って何か分からない

 早速ですが、『日常の家事』って抽象的で、何を指すのか具体的にわかりませんよね?
 
 そこで、この定義をどう考えるのか?が問題になりました。

 この点、判例は、夫婦の日常家事の範囲内か否かは、夫婦の収入や法律行為の特徴やいろいろなことを総合的に考慮して、決しましょうと判断しています。

 この定義は、ざっくり覚えます。
 
 判例の定義を使って、考えてみましょう。

 例えば、上の例で言うと、この夫婦が収入の多い資産家で、日常的に不動産の売買をしているような夫婦である場合はどうでしょう?
 
 この場合なら、妻が勝手に不動産を売った契約は日常家事の範囲内と言えるでしょう。

 対して、特に一般的な夫婦で収入も平均的、不動産の売買等は一世一代の大勝負などといった夫婦ならばどうでしょう?
 
 おそらく、上記の契約は日常家事の範囲外ということになるでしょう。

『日常の家事』の範囲外と判断されれば、もう何も言えないか?

 では、『日常家事』の範囲外と判断されたような場合、契約の相手方である第三者は、そのまま何も言えず泣き寝入りをしなければならないのでしょうか?

 ここで、判例はまた悩み、民法110条『権限外の行為の表見代理』の規定を応用することによって、第三者が保護される要件を提示しています。

 判例は、民法110条の『趣旨』を類推適用しています。
 
 具体的な要件は、第三者が夫婦の日常家事の範囲内であると信じるにつき正当な理由がある場合には、第三者を保護してもよいよと判断しています。
 
 この要件が満たされれば、客観的には日常家事の範囲外と判断されるようなことでも、第三者の信じたこと次第で、契約の効力は夫に帰属することになります。

判例の民法110上類推的適用の2つの注意点

 この理論には注意点が2つあります。

 一つは、上記で『』で囲んでいますが、判例は110条を類推適用しているのではなく、その『趣旨』を類推適用しているという点です。

 すごく珍しい言い回しなので間違わないようにしましょう。

 次は、代理権があることについてではなく、日常家事の範囲内であるかどうかについての第三者の信頼を保護しているという点です。
 
 民法110条は、『代理権の存在』に対しての期待を保護する規定なので、何に対する第三者の信頼を保護しているか?は注意しましょう。

 夫婦は、法定代理権をお互いに持ち合っています。
 
 そこで、『代理権の存在に対する期待』を保護してしまえば、どんなときにも保護されてしまうから、このような回りくどいことになっているのでしょう。

 ここは結構頻繁に問われる点ですので、よ~く覚えておきましょう。

 以上が、ざっとですが日常家事代理権の論点の紹介です。

7)親権の濫用

 親権の濫用という論点は民法家族・親族法の分野では一大論点となっています。

 ご存知の通り、親権とは親が子を養育・看護する権限のことです。

 この親権を親が自分の利益のために濫用してしまうような場合に問題となる論点です。

 これも代理に関する知識が完璧である必要があります。

代理権の濫用のおさらい

 『代理権の濫用』について判例理論がありますが、ここ重要です。

 例えば、代理人が、『自分の利益のため』に、代理権を行使して契約をしてしまうような場合です。

 通常、代理人は本人の利益を最優先に考えて契約等の締結をしなくてはいけませんが、代理権の濫用では、代理人が自分の利益を図ることを優先してしまいます。
 
 だから、代理人の『自分の利益のために』という意思は大切です。
 
 これないと濫用ではなくて、権限逸脱の問題になります。

 このような濫用事例について、判例はどう処理していたでしょうか?

 そうですね、民法93条を類推適用することによって解決を図ります。

 93条は、『契約がウソであるということを相手が知っていると無効』という規定でしたね。
 
 こいつを代理権の濫用に類推適用します。
 
 代理人が、外形的には『本人の利益通りですよ~』と言いながら、心の中では『自分の利益を図ってやろう』と考えている点に、『ウソ』があるということですね。
 
 だから、93条をそのまま適用できなくても、応用して類推適用ならできるということになるのです。

 これを、当てはめると。
 
 代理人の契約相手が、代理人が自分の利益を図る目的で取引していることを知っていたような場合には、この契約は無効であると判断されます。

類推適用って?

 類推適用は、民事系独特の条文の適用方法です。
 
 条文に書いてあることをそのまま読むと、その事案には直接条文を適用できません。
 
 でも、その条文が作られた趣旨に遡ったり、その条文の構造がどうなっているか?に着目し、『似ている事案』であれば、応用して適用してやろうとする条文の適用方法です。
 
 まぁ、『民法は条文と全く同じ状況でなくても、条文を適用できる時があるんだな』くらいに思っていただいて問題ありません。

 この代理権の濫用が、親権の濫用にもそのまま当てはまることになります。

 もっとも、親権の濫用は、代理権の濫用と違って、濫用と認められる場合は、制限されます。

 というのも、民法は親に子を代理する広範な代理権を与えていますので、ここに配慮して安易に親権の濫用を認めないことが法の趣旨に叶うという配慮からです。

 ここが、代理権の濫用と大きな違いです。

8)利益相反行為

 民法は、家族・親族法に置いて、親の利益と子の利益が相反する場合には、子を代理してした親の法律行為は無権代理となる旨規定しています。

 これを利益相反行為と言います。

riekisouhann

 ところが、利益相反行為がどのようなものか?の判断が結構難しいです。

 判例は、ごくごく客観的に子と親の利益が衝突するかどうかを検討して、判断するとしています。

 どのような行為が利益相反行為に当たるか否かは、判例した判断の結論と事案を逐一覚えるのが手っ取り早いです。

 ここで大切なのは、利益相反行為に当たった場合の効果です。

 先にも述べましたが、利益相反行為に該当すると、無権代理となります。

 これ意外に重要です。

無権代理って?

 無権代理とは、代理権が無いにもかかわらず、代理人として契約してしまったような場合です。
 
 本人から代理権を付与されていないので、この契約の効果は本人に帰属しません。
  
 無権代理に当たると、契約は無効になりますが、第三者は本人に契約に基づく請求ができないものの、(無権)代理人に対して『無権代理人の責任』を追求することができます。
 
 具体的には、(無権)代理人は損害賠償を請求されてしまうということですね。

 以上が、民法家族・親族法のポイントとなります。

 これ以外の箇所は、本当に暗記一筋になるので、一に覚える、二に覚えるの姿勢で望みましょう。

次ページからは、民法の特徴や、知っとくと勉強がはかどることについて書いていきましょう!!

ページナビ 次のページへどうぞ

1 2 3
Sponsord link
PR

長年結果が出ない・・・。スクール利用でスっと合格できる人は多いです。

コスパランキング
フォーサイト
エル・エー
ユーキャン

伊藤塾
LECリーガルマインド
資格の大原

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

学鬼
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly


この記事に関連するあなたにオススメの記事一覧!

余白

限定無料!! 3名様/月 《お悩みカウンセリングサービス》始めました!

限定無料!!  3名様/月 《勉強のお悩み相談サービス》

ご意見・ご感想などお気軽にコメントいただけますと幸いです。

学鬼