【Q&A】行政書士会に登録してないけど行政書士を名乗っていいの?
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【質問】
行政書士の資格を取得しました。
ただ、行政書士として開業するつもりはありません。
会社の仕事で、資格試験の勉強で得た知識を役立てたいと考えています。
ここで質問ですが、このように会社で行政書士試験の対策で学んだ知識を利用するような場合でも行政書士会への登録をしなければいけないのでしょうか?
また、行政書士を名乗って業務を行っても良いのでしょうか?
【回答】
行政書士として業務をすること
行政書士の資格を取得し、合格したとして、この場合、即行政書士として業務を展開できるのか?
という質問は多くの場所で見かけます。
僕も、『資格を取ればすぐ開業するぞー』と考えていましたが、これは勘違いだった様です。
僕だけでなく、結構勘違いしている方も多いのですので、『みんなそうなんだ』と少し安心したことをよく覚えています。
つまり、冒頭の質問への回答としては、行政書士試験に合格し資格を取得したとしても、たちまち行政書士として業務を手がけることはできないというのが回答です。
行政書士という名称を使用して、お客様とかかわり、業務を行うためには、地域の行政書士会へ登録する必要があります。
ですので、行政書士会に登録していない有資格者は、『行政書士試験に合格し行政書士資格を有する者』であり、厳密には行政書士ではありません。
詳しくは、行政書士法第6条に記載があります。
行政書士法第6条
行政書士として業務を行うには『行政士名簿に住所、氏名、生年月日、事務所の所在地その他日本行政書士会連合会の会則で定める事項の登録を受けなければ」ならない事が定められています。
6条を読むと、行政書士名簿に登録ないものは行政書士として業務を行えないことが分かります。
この行政書士名簿への登録は、つまり、行政書士会への登録ですので、ここに登録がない場合、行政書士としての活動はしてはいけないと法律で定められています。
赤信号を無視することは悪いことですが、そうそう警察官にも咎められることはありません。
でも、この6条に違反して行政書士業務を行えば、違法行為として大変なことになりますので、気をつけましょう。
行政書士試験で学んだ知識を会社の仕事に活かす
行政書士として業務を行うには、行政書士会への登録が必須で、これを無視するとマズイことになります。
では、ご質問内容の『行政書士試験で学んだ知識を仕事に活かす』ためにも、この行政書士会への登録が必要なのでしょうか?
行政書士会への登録は30万円ほどの登録費がかかるため、ここを重要な関心事だろうかと思います。
回答としては、行政書士として業務を行うのではなく、その知識のみ生かし仕事をするのであれば、行政書士会への登録は必要ありません。
ポイントは、行政書士という名称を使用して行政書士の管轄に属する業務を、行政書士会への登録なしに行うとアウトだということです。
つまり、下記のような場合がアウトということです。
●【ポイント】
- ◇行政書士○○と名乗り業務を受ける
- ◇行政書士と名乗らずとも、官公庁へ提出する書類を代書し、報酬を受け取ってこの業務を行う
以上から、行政書士として名乗らないこと、そして、報酬を得て官公庁へ提出する書類を代書しないこと。
この2つを守れば、会社の業務で行政書士資格の知識を生かすことは何の問題もありません。
士業は行政書士だけではない
ここでは、行政書士法を中心に、書いてきましたが、士業は行政書士だけではありませんので、関連士業の法律にも気をつける必要があります。
士業には、その士業の管轄がありますから、他士業の分野を犯すとこれも違法行為になりますので。
例えば、行政書士試験で学んだ法的知識を活用するため、行政書士とは名乗らず他人の法律業務を報酬を受けとり代理した。
このような行為は、非弁活動といって、弁護士法違反となりますので注意しましょう。
近年、司法書士・行政書士が非弁活動で取締を受けることがありますが、非弁活動は刑事罰もあるかなり重い罪です。