行政書士試験の『憲法』をスッとマスターするための5つの基本!《勉強法》
行政書士試験では、行政法と民法のウエイトは非常に高いです。
記述もほぼ民法と行政法から出題される傾向にあります。
このブログでも、民法の重要性に配慮して勉強法などを充実させています。
この2科目の重要度は誰が見ても一目瞭然ですので、みんなあるていど勉強することでしょう。
この点、今回の話題である憲法については、行政書士試験でのウエイト(重要度)が微妙な位置にあります。
重要ではあるものの、民法や行政法ほど、出題されるわけではなく・・・。
でも、出題はあるていどあり、勉強しないという選択しはありえません。
このように微妙な位置にある憲法ですから、勉強を『後回し』にされる方は多いでしょう。
僕も、行政書士試験の対策としては民法よりもあとに勉強し始めました。
こんな傾向にある憲法だからこそ、勉強不足に陥りやすい科目とも言えます。
かといって、条文の数は少ないながらも非常に重厚な科目ですから、簡単にマスターできるような科目でもありません。
少しかじる程度では歯の立たない科目・・・・それが憲法です。
そんな、難しく重厚で奥の深い憲法。
行政書士試験に合格する程度に、効率よくマスターするためにはどういったことに気をつける必要があるのでしょうか?
僕なりにまとめてみました。
INDEX
憲法という科目の特徴をざっくり知ろう♪
行政書士試験では、憲法はNo3!!
行政書士試験においては、憲法のウエイト(重要度)はNo3で間違いありません。
過去問を分析しても、それほど多量に出題されるというわけでもなく、かと言って捨てると合格できないキー科目でもあります。
そんなNo3のウエイトの憲法ですが、以前にも記事にした通り、行政書士試験では、民法の次に勉強すると行政書士試験の法律科目を効率的に攻略できます。
重要科目の一つである行政法よりも先に勉強する方が効率的だということです。
簡単に理由をいえば、行政法の基礎が憲法であるため、ぎょす泳法よりも先に憲法を学ぶと効率的と言えるのです。
詳しくは、下記の記事をご覧ください。
《関連記事》
行政書士:楽に効率よく法律科目をマスターしたいなら『順序』を意識して勉強せよ!!という話
憲法ってどんな法律だ?憲法の特徴
そんな憲法ですが、どのような特徴があるのでしょうか?
憲法はちょっと特殊な法律で、民法などとは少し違います。
それは、憲法という法律は、僕たち個々人を縛る法律ではないという点です。
ここは、憲法を難しくしているところで、絶対に忘れてはいけない視点です。
憲法の特徴をほかの法律と比較しながらもう少し詳しく見ていこう
もう少し詳しく説明すると、民法などに代表される法律は、僕たちを縛る法律となります。
つまり、僕たち個人に対して、『あれはしちゃならんよ』『こうすればよいよ』ということが条文という形式で書かれているのです。
これに対して、憲法は、僕たち個々人に対して『こうしろ』『ああしろ』とはほとんど書かれていません。
義務という形で一部条文がありますが、メインではありません。
では憲法は何に対してのルールを取り決めている法律なのでしょうか?
それは、『国』です。
つまり、『国家』ですね。
この日本という国をどのようなルールで誰によって運営するのか?
そして、そこに住んでいる国民が国家権力によって蹂躙されないように国を縛っている法律です。
よく、『憲法改正なんてとんでもない』といった意見がありますが、これは昔、国によって国民が虐げられた歴史を受けてのことです。
この点を重視しているため、このような意見が主張されているのでしょう。
つまり、国民、個々人を国から守る方向で主張される意見ということですね。
憲法は国を縛る法律であるということ。
これをすっぽかすと、行政書士試験の勉強で憲法を理解するための期間が余分にかかってしまいます。
まず、憲法を学ぶ前には、この特徴をしっかり意識しましょう。
ここを勘違いすると判例を読んでも憲法論を学んでもチンプンカンプンで時間ばかりかかってしまいます。
憲法の大きな柱をしっかり理解すると、憲法が理解しやすくなる!!
憲法は遠い存在だけれども、考え方次第では少し身近に感じる法律
憲法というのは、僕たちの日々の生活ではあまり身近ではない法律です。
近年、憲法9条の改正の是非、96条改正など、ちょくちょくニュースなどでも注目されることもありますね。
ただ、それはあくまで政治的な話であり、僕らの生活で『憲法を使う』という機会は特殊な職業についていない限りあまりないと思います。
ここ最近の憲法についての話題といえば、『自衛権』についてですね~。
憲法の超有名判例『砂川事件』があちこちで引用されたり、ニュースになったりしています。
今、あちこちで集団的自衛権のデモが話題になっていますが、僕も先日夜にデモをしているのを見かけました。
デモ関連で、今日話題になったのは、通称ホリエモンがデモをしている人に対してツイッターで『暇なの?』とコメントしたことですね。
ツイッターでも話題になっていましたし、ヤフーでもトップにインデックスされていましたので、多くの方がご存知の話題だと思います。
これについては、僕は『言い方はもう少し工夫すればいいのになぁ』とは思うものの、かねデモのやり方については、『そのやり方はちょっと違うんじゃないかな?』と思います。
全てのデモがそうではないでしょうが、僕の見かけるデモはほとんどが『首相やめろー』だとか『反対ッ!!』だとか、楽器ではやし立てるだとか、そういうものが多いからです。
そこにどのような合理的理由と主張があるのか分かりません。
デモはあくまで表現の一環ですから、僕はもう少し、論理的・合理的に演説をすべきはないかな?と思うのです。
今日、このニュースを読んで強く思いました。
ちなみに、デモといえば、憲法では『表現の自由』に関わる問題ですが、憲法上かなり強烈に保障されます。
それほど遠い存在の憲法ですが、その大きな柱を見てみると、僕たちの自由を守ってくれている法律であることに気づきます。
ここに気づくとグッと身近に感じることができるのです。
行政書士試験の法律科目である憲法の大きな柱の話
憲法という法律は、下記のような大きな柱で成り立っています。
憲法を貫く大きな2本の柱
- 人権
- 統治機構
人権はよく聞きますよね。
人権派だとか、権利だとか、自由だとか。
そう言ったものに親和性を持つ言葉です。
統治機構という言葉は聞きなれないと思います。
ニュースでもほとんど出てきませんからね。
憲法を楽に理解するためには、この大きな構造のそれぞれの特徴をよくおさえておく必要があります。
憲法の大きな柱の一つ!!《人権》についての話
これは、簡単に言えば、僕たち個人、一人一人の自由や権利というものについて書かれた章です。
日本の国民の個人個人にどういった権利があるのか?自由があるのか?
このような事項が列挙されています。
権利だとか、自由だとか。
日本の国民に、どのような種類のものが保障されているのか?カタログのような章と考えると分かりやすいと思います。
この分野は、憲法の中でも華形です。
憲法の大きな柱の一つ!!《統治》についての話
先の記述で、憲法は国を縛っているという話をしました。
この章は、それがモロにイメージできる章です。
日本の国を収める権力が3つ存在し、その運営、権力の性質について、そして権力同士の均衡などについて様々なことが規定されています。
小学生の時習った、国会・行政・司法が大きな3つの権力です。
三権分立といえば誰でも知っている概念でしょうが、この3つの強大な権力をどのように行使されていくのでしょうか?主にそんなことについて書かれている章です。
憲法の《人権》と《統治》・・・この2つの柱を比較してみよう!!
この2つの大きな柱を勉強する時には注意が必要です。
それは、全く違う科目を勉強するつもりで、勉強に取り掛かる必要があるという点です。
この2つの分野は、根本的な考え方には共通点があるものの、思考パターンが全く違います。
人権は、簡単に言えば、憲法に書かれた権利が国民に保障されるのか?そして保障されるとして、それはどのていど保障されるのか?
人権と他の利益(公益)とのぶつかり合いをガッツリ考え、どちらをどのていど優先するのか?
このような話がメインです。
憲法の統治は、国会・行政・司法のそれぞれ3つ権力が登場しますが、この各権力のぶつかり合いについて主に勉強することになります。
例えば、行政が、裁判所の判断に物申したとき、その行為は、裁判所の司法権を侵害するのではないか?
そしてそれは許されるのか?
そんな話です。
もっと簡単に言えば、国会・行政・司法の3つの権力が、『権力VS権力』のように、バトルを繰り広げ、その喧嘩は許されるのか?そういう話がメインの分野です。
この2つの大きな柱の特徴をそれぞれ間違えないようにしましょう。
ごっちゃになると、かなり効率が落ちます。
《行政書士試験の勉強》憲法の柱《人権》と柱《統治》の関係を頭にブチ込むと難しい憲法論もスッキリするぞ!!
憲法の大きな2つの柱について書いて来ました。
それぞれの、特徴について、かなりざっくりとですが書いてきました。
あるていど、イメージできれば十分です。
人権と統治・・・この大きな柱ですが、実は、この2つの分野の関係にはある法則があります。
それは、目的と手段の関係です。
人権が憲法の大きな目的。
これを実現するために国家はどうあるべきか?というのが統治の話。
目的と手段です。
これはかなり基本的な話ですが、実は問題を解くときに思考の道しるべになります。
統治の論点はなぜ存在するのか?
それは、国民の人権を守るため、権力と権力のバランスを保ち、権力の暴走を抑止することが不可欠だからなのです。
もう少し詳しく言うと、各権力が他の権力に影響された場合、これを放置すると、一部の権力が肥大化し絶大な権力として暴走しかねません。
となると、究極的には国民の権利や自由というのを侵害する方向に必ず流れていきます。
例えば、裁判所が政府に吸収され、操り人形になってしまうとどうなるでしょうか?
政府に都合の悪い判断は異常なほどに避けられるようになり、裁判所に救済を求めた、国民の権利は蹂躙されることになります。
『絶大な権力は必ず暴走する』
これは歴史的な純然たる事実です。
だからこそ、権力と権力のバランスは非常に重要なのです。
行政書士試験の憲法の勉強では、ここの視点を持っておくと、統治の論点や判例をスッキリと読み解くことができるようになります。
基本知識ですが、たったこれだけを知っておくことで、『論点で何が問題になっているのかわからない』という事態を防止することができます。
ここまでが、憲法全体の総論的な学習を楽にするポイントです。
それでは、次は各論的な話に移りましょう。
《行政書士試験の勉強》『人権』をスッキリ理解する攻略法!!!
判例を読んでも・・・。
論点を勉強しても・・・。
何やらすっきりしない人権のお話です。
人権の特徴として、全体的に回りくどくすっきりしない印象をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか?
判例を読んでも、話があっちこっち飛びますし、何が問題になっているのか検討しているのか不明確だったりします。
でも、憲法の人権の章は、決まったパターンに沿って検討されていることが多いのです。
重要な判例なんてドンピシャでこのパターンが当てはまります。
覚えておくと判例を読むのが非常に楽になります。
人権の章の論点や判例をスッキリさせる定石パターン
人権の章の論点や判例は下記のような順序で検討される事がほとんどです。
なんか違うな?と思うときでも、このパターンのどれかが抜けているだけです。
1)誰の権利が問題になっているのか?
↓ ↓ ↓
2)どのような権利が問題となっているのか?
↓ ↓ ↓
3)そしてその権利は憲法で保証されるのか?
↓ ↓ ↓
4)保証されるとして、誰によって侵害されているのか?
↓ ↓ ↓
5)その侵害が許容されるかされないかを判断する基準はどういったものを採用するのか?
↓ ↓ ↓
6)採用した基準を用いて、具体的な事例をもとに検討
基本的には上記のような流れをたどります。
人権の章のいろいろな論点は上記の階層のどこかに必ず位置します。
また、判例もほとんど上記の流れに従って検討され、その流れのとおりに記述されています。
判例の一部を切り取ったテキストの記述や、判例の基準だけ載せているテキストであれば確認は難しいかもしれません。
でも、判例百選などで確認したり、判例の全文を読んでみると多少違いはあるものの、上のパターン通りであることが多いです。
憲法の多数ある論点も、上記のいずれかの位置に収まることがほとんどです。
例えば、憲法において、『外国人の人権』なんて問題になります。
それは、上記の1)に該当します。
他に、『タバコを吸う自由』『肖像権』等は、2)や3)に該当する話です。
この基本的なパターンを覚え、その論点がどこの階層に位置するのかを把握するとかなり人権の章の文章やテキストを読むことが楽になります。
人権の章は闇雲に読みふけっても混乱するばかりで、何が問題になっているのか?がはっきりしません。
是非とも、上記の流れを参考に各論点や判例を読み解いてみましょう。
《行政書士試験の勉強》憲法の統治機構の章をやっつける思考法
これでも憲法の基本中の基本
ふぅ・・・。
例のごとく・・・長くなっています(笑)
法律の一つ一つの科目は、各々重厚ですので、基本すぎる事項について書くだけでもこれくらいの分量になってしまいます。
これでも、憲法の基本中の基本、本当にベースのところしか書いていませんので、どれほど法律が奥の深い科目であるか想像に難くないと思います。
ただ、やっちゃならんのは、のめり込み研究することです。
法律は研究すれば一生モノの学問ですから、これをやりだすと、残念ながら試験に合格することはできなくなります。
基本を試験の合格に必要な限りであっさりと勉強・・・これが基本ですので、くれぐれもご注意を。
早速憲法の統治の話へいこうか
さて、憲法の統治の話でしたね。
前項では、憲法の人権の話をしてきました。
憲法の人権の章は、あるパターンにのせて考えれば、論点や判例・テキストを読み解くことがかなり楽になるという話です。
でも、憲法の統治にはこのパターンが通用しません。
憲法の統治は、人権のような定形性がありませんから、パターン化が極めて難しい章です。
ただ、コツはあります。
それは、憲法の統治の、3つの権力の特徴を把握し、各権力の背景にある原理原則を頭に叩き込むのです。
というのも、統治の3つの権力にはそれぞれ特徴が有り、この3つがことあるごとにぶつかり合います。
統治の分野では、多くのシーンで問題となるのは、各々の権力のバトルが生じた場合であるということは先に説明しました。
憲法の統治の典型的な考え方の具体例
例えば、裁判所(司法権)と政府(行政権)が権力のぶつかり合いを起こします。
裁判官が一定の裁判をし判決を出したとします。
これに政府が文句をつける。
これは良いのか悪いのか?許されるならどこまでか?
その権力の背景にある基本的な原理や原則を考え、そのシーンではどちらの権力を優先させるのか?
これを考えるのです。
統治の論点は、ほぼすべてが、権力同士のバランスを調整することが問題になります。
ここから外れる場合は、大抵が、ある国家作用が、どの権力に属するのか?
これが問題になっている場合が多いです。
以上のようなパターンに当てはめて、憲法の統治の論点や判例を読み解いていくと非常にスッキリ理解ができます。
《行政書士試験の勉強》憲法の条文についてはどう勉強すべきなの?
憲法の条文は六法がしわしわになるほど引くべき!!
行政書士試験においては、司法試験のように、ゴリゴリ六法を引かなくても良いという方も多数いらっしゃいます。
でも、僕は絶対に六法は引いた方が良いと思います。
憲法なんて100条ほどしかありませんが、六法がシワシワになるほど引くべきです。
でもそれはなぜでしょうか?
なぜ条文を引くべきなの?
法律の勉強は合理と論理が大切です。
ある主張をする場合、理由があって、それが論理的に筋の通っていることでなければ、説得力がなく、主張として成立しません
そして、その主張の最強の根拠となるのが、『条文』です。
例えば、ある論点があるとして、学説がいくつもあるとしましょう。
それぞれ非常に説得的な理由が並んでいます。
その中で、理由として条文を挙げているものがあるはずです。
これ大概通説であることが多いです。
というのも、法律の勉強というのは、全て条文から論点が発生し、最後は条文を使って論点を解決することに終始するからです。
高尚な学者の先生が、条文の文言と違う画期的で非常に妥当性ある学説を唱えたとしても、条文と矛盾する見解なら、実務では相手にされません。
条文は、日本に住む国民が皆の合意で作ったという建前があるのですから理由としては、文句なしに最強なのです。
六法を引かない人は、法律の勉強をしているといって、法律を読まないですからやっていることがちぐはぐです。
憲法についても、これは当然当てはまります。
その他の法律もしかり。
六法は、是非片脇に抱えて勉強を進めましょう。
まぁ、行政書士試験では、条文がそのまま出題されることも少なくありません。
六法を引かない人は、条文が試験に出るのに、そこを勉強しないという面白い勉強をすることになります。
これでは、合格が遠のきますので、是非面倒がらず引くようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
この記事も長くなってしまいました。
でもお役に立てれば幸いです。
それでは、この記事はこのくらいで。