難しい民法をサクっと攻略する7つの非常識な勉強法《行政書士試験》
行政書士試験で、行政法と並んで重要でウエイトの高い『民法』。
難しいですよね。
僕はどちらかというと民法は好きな法律ですが、このブログには、民法に苦手意識をもっておられる方が、頻繁に訪問されています。
このブログには、いくつか民法に関しての記事がありますが、どちらかというと王道の勉強法を書いたものがメインでした。
そこで、この記事では、とりあえず『民法をサクッとマスター』するための勉強法を書いていこうと思います。
もちろん、ガッチリ民法を得意にするためには、最終的には満遍なく勉強をする必要があります。
ただ、『苦手』『難しい』という意識があっては、サクッと勉強が進みません。
ある程度まで、例えば『苦手意識が抜け、難しいとは思わなくなる』くらいには、民法をやっつける!!そんな勉強法を紹介していきます。
INDEX
民法が『難しい』と感じる原因
民法の範囲は広い
このブログでも、何度か書いている民法の難しさの原因ですが、ざっとおさらいしておきましょう。
もし、別の記事で既に閲覧されている場合は、飛ばして【民法をサクッと攻略する非常識すぎる勉強法】の項へお進みください。
では早速ですが、民法の難しさの原因は、2つあります。
その一つがこの『勉強する範囲が広い』ということ。
そのため、行政書士試験などの法律系資格の試験科目の中では苦手意識を持つ方が特に多い科目です。
やってもやっても、最後まで到達できないと思うほど、量が膨大で、勉強のやり方を間違えると、攻略するのにとんでもなく時間がかかります。
民法の条文も、1000条以上あり、読むことのない条文の数よりも、一度は読む条文の方が圧倒的に多くなります。
これほど隅々まで条文を引き、条文を読むことになる法律科目は他にはありません。(もちろん、覚える条文は限られています)
法律系資格の勉強で挫折する人は、この民法で『諦めて行く』という話を聞くほどです。
民法の事例はかなり複雑
民法で出てくる事例は、非常に複雑です。
冷静に時間をかけてゆっくり読めば理解できないわけではないのですが、漠然と読むと、アッという間に大混乱です。
例えば。
具体的事例
Aが土地所有者Bから賃借した土地上に所有している甲建物についてCのために抵当権を設定し、AがDに対して、抵当権の実行としての競売手続きを妨害する目的で甲建物を賃貸した。この場合判例によれば、その占有により抵当不動産の交換価値が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の講師が困難となるような状態の時でも、Cは抵当権に基づく妨害排除請求権を行使してDに対し直接自己に甲建物の明渡しを求めることができない。
これゆっくり落ち着いて、登場人物を把握し、時間をかけて考えればそんなに難しい問題ではありません。
でも、登場人物が多くて、誰がどのような人でどういう請求をしているのか?ちゃんと意識して読まないと、アッという間に混乱します。
この複雑さが民法の難しいところです。
民法をサクッと攻略する非常識すぎる勉強法
●【ポイント】
- 《非常識1》意味がわからないところはとりあえず『やらない』
- 《非常識2》分からなくてもどんどん次へ行く
- 《非常識3》好きなところから『ランダム』に勉強する
- 《非常識4》面白そうな判例から勉強する
- 《非常識5》反対説なんてほっとく
- 《非常識6》読んで分かんなきゃ『お絵かき』で遊べ
- 《非常識7》民法の基本書(教科書・専門書)は読まない
《非常識1》意味がわからないところはとりあえず『やらない』
行政書士試験などの法律系資格試験対策として、勉強する場合、テキストや参考書をじっくりと理解していくスタイルが一般的だと思います。
でも非常識な勉強法は違います。
あぁ、テキストや参考書で『わからないところ』があったらざっと読んで飛ばしちゃいましょう。
とりあえずは、じっくり時間をかけて理解する必要ありません。
とりあえずはこれでよしとします。
《非常識2》分からなくてもどんどん次へ行く
『わからないところ』はとりあえず、ざっと読んで飛ばしましょう。
そして、どんどん次へ、スピードをつけて、ガンガン進んでいきましょう。
とりあえず、初めの民法に慣れるための非常識な勉強法はこれで良いのです。
民法は、テキストや参考書のあとの方で勉強する法律の理論や概念が、前の方で解説もなく登場します。
そのため、テキスト・参考書の前の方でわからないことが出てきたとき、じっくり勉強しようにも、調べるのに時間がかかります。
その上なかなか理解も進まず、時間ばかり過ぎていきます。
これでは先に進むことができず、『勉強がすすまない』ストレスでおかしくなりそうになります。
これ民法の勉強で挫折する原因です。
これを回避するためにも、騙されたと思って、非常識に、ガンガン次に進みましょう。
《非常識3》好きなところから『ランダム』に勉強する
民法の範囲は膨大で、勉強すべきところがたくさんあります。
一般的な勉強では、『テキストや参考書を前から順番に勉強していく』のがセオリーです。
でも非常識な勉強法では、この勉強法は避けていきます。
ランダムに、興味を持てるところから勉強しましょう。
前から順番に勉強するのではなく、好きなところから攻略していっても、民法の考え方の特徴はつかめるはずです。
また、民法の基本的な用語も、勉強したところでは覚えていくことができるでしょう。
初めは虫食いのような感じで断片的な知識のより集まりになるかもしれません。
でも、民法の分野で、少しでもわかる箇所が出てくれば、『あれ?俺勉強できてんじゃん』という『効果』『成果』を感じる瞬間が必ずやってきます。
これが重要なのです。
効果を感じることは、やる気・モチベーションに良い方向で影響を与えるため、民法の勉強の挫折を防止することにつながります。
1にランダム2にランダム3・4にランダム。
《非常識4》面白そうな判例から勉強する
冒頭の方で、民法の事例は複雑で、これが難しいという意識につながると書きました。
でも、実は、この難しい事例というのは、典型的には『判例の事例』であることが多いです。
ですので、実は判例に慣れると、事例を混乱せず読む力が自然と身についていきます。
そこで、非常識な勉強法では、『面白そうな判例を選んで勉強していく』方法を挙げておきました。
民法には、面白い判例がいくつかあり、それが重要判例であることが多いです。
具体的には、テキストで重要判例を探し、面白そうな判例を読みます。
次に、判例で問題になった条文を引きます。
判例と条文を比較して、分からなければ、適宜、テキストの該当箇所を読んで、判例に戻ります。
判例の事例⇒判旨⇒判例で特に問題となった条文⇒テキストの該当箇所⇒判旨
このサイクルで、判例中心の勉強をしていくと、だんだん民法の事例と法律理論に慣れていくことができます。
この勉強法には、複雑な事例に慣れるという効果だけでなく、民法の条文を生きた形で学ぶという効果もあります。
一石二鳥の効果が得られる勉強法です。
《非常識5》反対説なんてほっとく
行政書士試験の法律科目では、学説問題が出題されることもあります。
つまり、判例や通説以外の『見解』について、どういう結論になるのか?どういう考え方なのか?批判は?などの知識や考え方を問うものです。
こういう問題に対応するためには、通説判例以外の反対説をも勉強する必要があります。
ただ、反対説まで勉強することには次のような面倒があります。
民法の反対説を勉強する面倒
- 1)どの論点なら反対説を勉強するべきか判断に困る
- 2)判例・通説の勉強がおろそかになる
1)については、僕も本気でわかりません。
誰もが知っている論点だけ反対説に配慮した勉強をするという方法もありますが、『誰もが知っている』というほど曖昧な基準はありません。
こんなこといちいち考えていたら気になって不安になるばかり。
2)については、ただでさへ範囲の広い民法をさらに広くすれば、本当に勉強しなければならない箇所の勉強がおろそかになるばかりです。
学説問題への対処
学説問題というのは、実をいうと、判例・通説をしっかり勉強していれば、かなり難しい問題でない限り、問題なく対応ができます。
なぜ論点が問題になるのか?判例・通説の主要な理由と弱点は?これだけ気をつけて勉強すれば、学説問題は、現場での思考でなんとかすることは、そう難しいことではありません。
つまり、反対説をわざわざ勉強するのはスパッとやめる方が、時間帯効果の面で、パフォーマンスが高いということです。
スパッと割り切るのは不安かもしれませんが、学説問題は考えることでのりきることにし、非常識に!スパッと切ってしまいましょう。
《非常識6》読んで分かんなきゃ『お絵かき』で遊べ
民法の難しさは、複雑すぎる事例にあります。
法律理論自体も難しいですが、その前提として、とにかく事例の事実関係を把握するのが大変です。
初めのうちは、一回読んだだけでは把握できません。
あまりも難解ですから、眠たくなってきます。
そんなときは、『お絵かき』をしましょう。
『はぁ!?お絵かき!!遊んでちゃ勉強になんねーだろ!!』
そう言う声が聞こえてきそうですが(笑)
ここでのお絵かきというのは、『図』をわざわざ書きましょうという事です。
例えば下のような。
初めのうちは、事例を読み、いちいち簡略化された図を書くようにしましょう。
いちいち書くのです。
この勉強法は他の記事でも取り上げていることですが、それほど重要だからです。
いちいち図を書いていると、そのうち、『あぁこの図前にも見たよな』という状態になっていきます。
自然と、典型的な図の形を覚えることができ、このイメージが、本試験の問題文を読んだとき、瞬時に事案を把握するベースになります。
『あれ?あの典型事例と少し違うよな?』『あの典型事例と同じだな』
だんだんと、このように思えるようになりますし、そう思えるようになれば民法はたちまち得意になります。
勉強中にお絵かきなど、非常識ですが、民法の勉強では図を書くことが実力向上に必要不可欠です。
《非常識7》民法の基本書(教科書・専門書)は読まない
民法の基本書というと、一般に学者の先生が書いた『専門書』のことを指します。
これは、スクールの出版している参考書・テキストとは違って、教科書的な立ち位置です。
大学の法学部では、必ずいくつか有名な学者の先生の専門書を購入させられますが、それがこの基本書に当たります。
このブログにも、『基本書』というワードで訪問される方がいらっしゃいますが、法学部生の方でしょうか。
(基本書なんて言葉、法学部でしか使わないでしょうし。僕も他学部の友人からこんな言葉聞いたことないですし。)
脱線してしまいました。
ところで、行政書士試験などの法律資格の勉強では、この『基本書』を購入し、参照しなければ合格は遠のいてしまうのでしょうか?
中には、基本書を読め!とおっしゃる方もいらっしゃるようですが、僕は『合格・不合格には全く関係がない』と思います。
僕も、何冊か持っていますが、(法学部でしたので。買わされました↓)法律の勉強では、ほとんど使った記憶がありません。
行政書士試験の勉強をしていた時期も、新しくスクールの出版教材を使って勉強しましたし、はっきりいってこちらの方が分かりやすいです。
ここは、基本書派とスクール教材派と分かれるところだそうですが、僕は不要だと思います。
一般的な常識からすれば、教科書は教材として必要ですが、非常識な民法の勉強法では、ちゃんと勉強できる教材なら別に教材は何でもいいと思います。
僕が基本書を使わない理由
基本書を読めば書いていることはわかるのですが、『かゆい所に手がとどかず』、曖昧な知識では逆に混乱してしまうと思います。
基本書は、一定レベル以上の法律の素養がある人が読むべき本だと思います。
『○○入門』なんて専門書ありますが、あれ『入門』じゃありません。
また、基本書はあくまで専門書ですから、『専門家の専門家による専門家のための本』です。
最近では学生に向けて平易な言葉で書かれたものも多くなってきましたが、基本的には、『専門家に向けて専門家の常識にのっとって』書かれたものです。
でも、資格試験を受ける人は、一般人です。
わからないところ、悩むところ、ポイントがあるはずです。
そういう配慮はやっぱりスクール教材の方が優れていますので、僕は基本書は使いません。
さらに、基本書は学問を極めるために書かれていますが、スクール教材は『試験に合格するために』書かれています。
僕らは、法学を極めるために勉強しているのではなく、資格試験に合格するために勉強するのですから、そう言う意味でも目的に合った教材の方がよいでしょう。
僕は、資格試験対策としては、何を調べてもわからないときの最後の手段の位置づけですね。
あと敢えてもう一つ難をいうと、『高価』です。
値段が高いんですよ。圧倒的に。
民法の基本書だけで、1万円以上になります。(他にも問題集とか買わないといけません)
スクール教材も高いですけど、基本書よりよりましです。
まとめ
お疲れ様でした。
民法は、本当に難しいです。
勉強すればするほど、難しい。
でも、ここで書いている勉強を行っていけば、必ず慣れてくるはずです。
また、スピーディーを重視する勉強法になっていますので、要所要所を捉えて行けば、行政書士試験をはじめとした法律系資格の得点も上がるはずです。
民法に苦手意識をお持ちの方は、是非、騙されたと思って、上記の勉強法を試してみましょう。
それでは、今回はこのくらいで。