行政書士試験の多肢選択式は『ほっとけ!!』で9割正解の勉強法であるという話
行政書士試験の出題形式である多肢選択式の問題。
択一式とは、ちょっと変わった形式をしています。
この出題形式は、日々の地道な勉強で対応できることが多く、特別な対策は必要ない場合も少なくありません。
ですので、9割方、『ほっとけ』というスタイルでの勉強法で対応できます。
でも、確実に合格するためには、早うちから知っておけばより有利なポイントがあるのは確かです。
この記事では、『ほっといて』も何とかなる多肢選択式を得意にするため、もしくは苦手な方が、ガッチリ得点できるためのポイントを書いていこうと思います。
行政書士試験の出題形式と、多肢選択式の出題について、『これだけ知っておけば十分なこと』をまとめてみました。
INDEX
行政書士試験の法律科目の出題形式
行政書士試験の出題形式
行政書士試験の多肢選択式について書いていく前に、ざっと行政書士試験の出題形式の分類を確認していきましょう。
既に十分に各出題形式のイメージがもてておられる方は、こちらは飛ばして本題へどうぞ!
行政書士試験の択一式のイメージ
行政書士試験の問題形式の中で、もっとも基本的で、出題数も多いのがこの出題形式です。
合格するためには、この形式でどれだけ得点できるか?が最大のテーマになります。
そのため、法律科目への対策もここに最大限の力を注ぐ必要があります。
ここではイメージをつかみましょう。
行政書士試験の記述式問題のイメージ
行政書士試験の記述式の見本です。
このような短文を読んで、短文の文章を書かされます。
行政書士試験では、ここの部分でどれだけ得点するべきかは、択一式問題と多肢選択式問題がどれだけ得点できるかによって変わってきます。
択一式問題で高得点を安定的に取れるならば、記述式問題への対策は特別にする必要はないでしょう。
でも、それは結構厳しいので、皆さん対策はされる方が多い出題の形式です。
行政書士試験の多肢選択式問題のイメージ
多肢選択式の問題のイメージは、いわゆる『穴埋め問題』です。
バーっと文章があって、虫食いのようにカッコがあり、そこにどんな言葉が入るのか?それを下の選択肢から選ばせる問題です。
今回の記事では、この多肢選択式の問題形式がメインのテーマとなります。
そこで、行政書士試験の多肢選択式の出題について、次項より書いていきたいと思います。
行政書士試験の多肢選択式の出題傾向
多肢選択式で出題される科目について
例年、行政書士試験の多肢選択式の出題は、行政法と憲法からの出題が圧倒的です。
この2科目からしかでないと言っても過言ではないほど、この科目から出題されます。
過去問を解けば簡単に分ることですが、対策する必要のない科目を対策してしまっては時間の無駄ですので、これはしっかり押さえておきます。
多肢選択式の勉強法《科目共通》
行政書士試験の多肢選択式の問題は、2種類の出題パターンであることが多いです。
一つは『判例』の判旨などがバシっと掲載され、それを埋めていく感じの穴埋め問題。
もう一つは、『体系』・『概念』について、ざっくり記述が有り、体系や概念の位置づけをちゃんとわかっているのかを問う出題が見受けられます。
『判例』への対策と日々の勉強法
行政書士試験の多肢選択式について、判例の出題への対策は、日々の勉強で判例を『比較』することで培われます。
また、判例は思うよりもその『事案』が大切で、これをざっと確認することが、判例の違いを特定する良い勉強になります。
さらに、重要判例と言われるものについては、事例・論点・条文・判旨の重要部分を確認することはもちろん、判例がどういう流れで結論を出しているのか?その論理展開を勉強すると効果的です。
9割は、日々の択一式の勉強で十分対応できます。
ですが、多肢選択式を得点源としたい場合、またはより確実に合格したい場合は、上の点を注意して日々勉強しましょう。
それであと1割の工夫は十分でです。
あとは、『ほっとけ』勉強法で何とかなると思います。
『体系』と『概念』の勉強法
体系とは
行政書士試験において多肢選択式のもう一つの出題の特徴として、『体系』・『概念』をしっかりわかっているのか?ということが試されます。
これはどういうタイプの出題でしょうか?
『体系』とは、いわゆる、枝分かれした『概念』をつないだものです。<.span>
例えば、大きなテーマとして、Aという概念があるとします。
このAの中には、BとCとDという小さな項目があります。
これを図にすると。
A---B
---C
---D
このような感じ。
例えば、憲法という科目には、大きく分けて、『人権』と『統治』がありますが、これを図にすると。
憲法 — 人権
— 統治
となります。
これが一般に体系と言われるものです。
体系的思考とは
上位概念から下位概念へ向かって、上から下へ思考していくことを体系的思考といいます。
この思考は法律では大切な思考方法なのですが、こういう思考ができるようになるためには、『ちゃんと体系が頭に入っている必要』があります。
行政書士試験の多肢選択式の『体系』・『概念』からの出題は、この体型が頭に入っているのか?ということを手っ取り早く試す問題形式といえます。
ここへの対策としての勉強法は、2つ。
一つは、体系で概念どうしのつながりを覚え、概念の意味を正確に理解すること。
もう一つは体系の一つ一つの概念の『関係』を意識して日々勉強すること。
これにつきます。
行政書士試験の多肢選択式!!科目別対策!!
多肢選択式の勉強法!!《憲法編》
さて、では多肢選択式対策の基本として各科目別に対策を立てましょう。
まずは、憲法。
多肢選択式の出題では、判例からの出題が多い傾向にあることは既に書いた通りです。
とりわけ判例の重要な憲法や行政法からの出題が多いので当然でしょう。
憲法についての問題は、判例を勉強すれば、あるていど得点ができるようになれます。
多肢選択式に関しても、その傾向は強いので、憲法の判例に自信がある人は、ここで困ることはほとんどありません。
特に憲法の判例で日々意識して勉強することは、『判例への対策と日々の勉強法』で書いた一般論を意識すれば十分です。
まぁ、念のため、憲法に特化したより具体的な、判例の勉強ポイントを下記に書いてみました。
憲法の判例で意識して学ぶと良い点について
- 1)問題となった、条文・人権・理論・基準などの当然に勉強すべきこと(念のため)
- 2)判例何をどう判断したか?
- 3)基準をどう使ったか?
- 4)基準は緩いか厳しいか?
- 5)いくつか判例がある場合は、どこがどう違うのか?
- 6)判例がした人権の制限の許容度は高いのか?
⇒公人か私人かとか、保護すべき利益がどう違うかとか
⇒例えば公務員の政治活動などでは、一律全面禁止などきつい制限をOKとするものまであります。
ざっくり挙げてみましたが、要は、普通の憲法の判例を読むときの注意点と同じです。
このほとんどは、択一式試験の普段の勉強でカバーできると思いますが、意識することで勉強の効果はさらに高まります。
念のため再確認してみました。
多肢選択式の勉強法!!《行政法編》
行政法の判例の特徴と、出題傾向
次は、行政法。
発想は憲法とよく似ていますが、分野によっては、民法的な発想となったり、会社法的な発想となったりと、考え方がコロコロ変わります。
ごちゃ混ぜの印象が強い科目です。
行政法はの多肢選択式では、、体系・概念からの出題と判例からの出題のウエイトがドッコイドッコイです。
ただ、例年、憲法よりも行政法の出題が多い傾向にありますので、これは落とせません。
判例の重要性は、憲法と同じくらいと考えてよいでしょう。
憲法の判例の勉強を応用していけば、全く問題なく対応できます。
あえて、違いを挙げるとすると、憲法よりもさらに『判例の区別がしにくい』こと。
ですので、ちゃんと記憶の枠を作ってやって、判例を分類する必要があります。
例えば、行政裁量の分野の濫用事例などは、いくつも判断方法の分類があり、漫然と判例を読むと、判例の基準は同じに読め、全く区別がつきません。
『見たことある判例だな~』でとどめず『見たことがあって、あの判断方法に該当する判例だな』と分類することを意識しましょう。
行政法の『体系』・『概念』からの出題への対策勉強法
ここの勉強法は、既に書いたことをやってれば十分
行政書士試験の多肢選択式について、行政法については『体系』・『概念』からの出題がみられます。
憲法ではあまり見かけませんが、行政法は概念を正確に知っているかが大切なので、問われるのだと思います。
行政法の参考書やテキストを読んでいると、各単元で概念を枝分けしておさえるべきところが散見されます。
こういうところを、意識的に覚えて概念同士の区別をしていきます。
このような意識をもって日々勉強し、この枝分かれをおさえるだけで、多肢選択式の体系的な問題は、軽く解答できます。
ここへの対策は、『体系』と『概念』の勉強法で書いたことをやっていれば、特別な対策は必要ないでしょう。
あえて他に勉強法を挙げるならばコレだ!
あえて、他に効果的な勉強法を上げるとすると、『目次』を確認しながら勉強することでしょうか。
ただ、この勉強法は、効果的な勉強法としてこのブログでも標準の勉強スタイルとして挙げています。
そのため、多肢選択式対策として特別に挙げられるものでもないとは思います。
行政書士試験の多肢選択式の対策は別途特別に行う必要はない
多肢選択式への対策は普段の勉強でちょっとした意識をすれば合格点に至る
行政書士試験の多肢選択式対策について、ここでいろいろ書いてきました。
ただ、個人的には、この出題形式に特化した特別の対策はする必要はないと考えています。
日々の択一式の勉強をするときに、上記で書いた勉強法を、頭の片隅で意識し、ガッチリ勉強していきましょう。
この勉強スタイルで、いつの間にやら得点できるようになっている人の方が多いのが、多肢選択式という出題形式です。
この点が、記述式とは明確に違うところだと思います。
行政書士試験の多肢選択式は、読解力だけで解ける時もある
僕が多肢選択式について特別に対策をする必要がないというのはもう一つ理由があります。
それは、多肢選択式の出題の特徴から、『読解力のみ』で解けることが頻繁にあることです。
ベースとなる概念の意味が分かっていれば、文章をじっくり読めば、難なく穴埋めできる時が少なくありません。
ただ、このイメージは僕のごくごく個人的なイメージです。
(僕の場合は、択一式の勉強のみで、多肢選択式は読解力を使って、難なく得点できましたので・・・。)
いろいろと調べたところ、多肢選択式で苦戦している方もいらっしゃるようなので、一概に『読解力と概念の意味だけ』で十分とは言えないかもしれません。
とはいえ、ちゃんと勉強できていれば、難なくクリアできるのが、多肢選択式という出題形式です。
とりあえずは日々地道に勉強を重ねることがもっとも効果的な対策になることは間違いありません。
多肢選択式への特別の対策をする必要がある時ってどんなとき?
行政書士試験の多肢選択式の対策を特別に行わなければならないとすれば、下記のような場合です。
模試・予想模試など本試験形式の問題を、本試験通りに解いてみて、明らかに多肢選択式の問題の得点ができていない場合。
つまり、多肢選択式が自分にとって『弱点』になっている場合です。
まぁ、ほとんどないことだと思いますが、ここで書いた点を意識せず、漫然と勉強すると、こういう自体に陥ることもありますので気をつけましょう。
まとめ
お疲れ様でした。
行政書士試験の多肢選択式への対策は、おそらく、特別に行う人の方が少ないかもしれません。
僕自身も、択一式の勉強だけで、ここに書いてあることを意識して、日々勉強することくらいしかしていません。
それでも、多肢選択式では、十分得点できることが多かったですし、予想模試などでも、安定して得点できていました。
そのため、基本的にはここで書いてあることで対策としては十分と考えています。
もし、多肢選択式の得点が伸びずにお困りの方は、試して見られることをおすすめします。