行政書士試験の行政法をサクッと攻略するため知っておくべき5ヶ条!《難しい法律を楽に勉強》
行政書士試験で、民法と並んで重要な科目である『行政法』。
いや~難しいですよね~!
公務員試験などでも、行政法という法律は試験科目になっているようですが、一般市民からすると、憲法や訴訟法以上に遠い存在であることは間違いありません。
こんな行政法、重要だからこそ、行政書士試験の対策としては一番に勉強したくなるのが人情です。
ところが、行政法という科目はかなり特殊ですから、必ずしも、一番に勉強すべきとは言えないのです。
僕もガッツリ勉強した経験がありますが、『初めて学ぶ時には行政法から勉強しないほうがいいな~』と心から痛感した次第です。
そんな行政法の特殊性。
今回はそんな話をメインに書いていきましょう。
INDEX
行政書士試験の試験科目として重要な行政法!!その特徴を知ろう!
行政法の重要性は一瞬で分かるぞ!!
資格試験のメジャーな対策の一つとして、過去問を分析するという方法があります。
過去問を分析することによって、資格試験のことがいろいろと分かってきます。
行政書士試験で、この過去問分析をやると、行政法の重要性が一目で分かります。
過去問を解かなくても、ザッと見ただけで、行政法の出題ウエイトが高いことが分かるほどです。
初めて法律を学ぶ方の場合でも一目で『重要な科目だ!!』と判断できるでしょう。
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重要だからこそ、一番に勉強したくなるけどねぇ・・・。
行政書士試験の試験科目として重要な行政法だからこそ。
『早めに重要な行政法を勉強して対策をしよう』
そう考えるのが普通です。
でも、行政法は他の法律科目と比較してもかなり特殊な法律で、今まで法律を勉強したことのない方にとってはハードルの高い科目です。
これが、法律を初めて学ぶ方には落とし穴となる可能性があるのです。
では、なぜ初めて法律を学ぶ方にはハードルが高いのでしょうか?
これには5つの特徴があるからです。
次項より見ていきましょう。
時間をたっぷりかければゴリ押しでも攻略は可能だけど・・
行政書士試験の勉強時間に余裕のある方であれば、行政法の攻略はゴリ押しで突破できます。
行政書士試験は十分時間のある方にとってはさほど難しい試験ではないためです。
でも、忙しい学生さん・社会人の方は、そんなに時間的余裕があるわけではないでしょう。
できることならば、時間をかけずにパッと攻略したいものです。
これらの方にとっては、『少しの工夫』で学習時間の節約になるのであれば朗報ではないでしょうか。
なぜ『行政法』はあんなに難しいんだ!!5つの特徴
この5つの理由があるからこそ、重要だからと、いきなり行政法に飛びつくとドツボにハマります。
ドツボにハマらないためにも、下記の5つの特徴を十分把握して対策を打ってやりましょう!!
早速一つ目から見ていきましょう。
1)前提として憲法の考え方・知識が必要な部分がたくさんある
これは以前、行政書士試験の法律科目では、勉強する法律の順序を意識すると効率的だよという趣旨の記事を書いたときにも書いたと思います。
ご興味がある方は下記の記事をご覧頂けますと幸いです。
《関連記事》
行政書士:楽に効率よく法律科目をマスターしたいなら『順序』を意識して勉強せよ!!という話
前置きはこの辺で。
行政法は、憲法の応用みたいなもんだ!!
行政法をマスターする上で、憲法の知識と判例を知っていることが、ポイントになります。
また、憲法の判例の勉強がベースになって、行政法の判例が理解できることもあります。
行政法は、憲法の法律論や判例・条文の解釈を、より具体的な事例に応用・発展させた法律科目であると言っても過言ではありません。
例えば、憲法の財産権の分野と行政法で勉強する土地収容の分野を比較すると非常に深い理解につながります。
憲法の知識というベースがあれば、勉強もスムーズ
例えば、一生懸命勉強して、憲法の財産権の知識をしっかりマスターしていたとしましょう。
そして、行政法の土地収用の話を勉強しているとします。
この場合、行政法の土地収用の話は『憲法の財産権の応用で憲法とはこう言う理由で結論が逆』と覚えれば、さっと知識を習得できます。
関連付けとういう勉強法ですが、こうやると後日忘れることが少なくなります。
また、行政法で勉強する地方自治法ですが、ここは憲法の統治の分野の知識を応用するだけで理解できます。
このような機会は、無数にあります。
特に、行政法の中でもとりわけ重要である『行政行為』の分野でも、憲法の知識がものをいいます。
この辺りは憲法の『人権』で勉強する考え方をマスターしていると非常に楽です。
『あぁ、憲法のあそこでやったな、それをもう少し具体的にした話だな』といった具合です。
このように、憲法の知識があると行政法のマスターは早くなるのです。
憲法がベースだからこそ混乱の可能性も
憲法が全くわからない状態で、行政法を勉強するとしましょう。
その後、憲法を勉強した場合、憲法では行政法と全く逆のことが記述されていることも珍しくありません。
これでは、混乱してしまうおそれが少なくなく、大変非効率的です。
行政法の勉強やり直す必要もでてくる可能性もあり、行政法と憲法を行ったり来たりしてしまうことになりかねません。
イメージとしては、例外⇒原則のように逆から遡る勉強になるので、応用がききません。
2)訴訟法(特に民事訴訟法)の概念を知らなければ、理解しにくい場面がある
訴訟法ってなんじゃそりゃ??
これは行政書士試験を突破された方でも案外気づかない点です。
そもそも、行政書士試験では、訴訟法は勉強しません。
これが、行政法をわかりにくくしている一番の原因ではないかと思うほどです。
ここで訴訟法というのは、一般には『民事訴訟法と刑事訴訟法』を指し、いわゆる訴訟手続について規定した法律のことをいいます。
この民事訴訟法と刑事訴訟法は行政書士試験にはない科目です。
訴訟法はあまり一般的な法律ではなく、法律系でも特に高度な資格試験だけに化されている科目です。
特に司法試験など、将来裁判手続を扱うことになる資格では、資格試験の試験科目として課されています。
訴訟法の知識がないと理解が難しい分野があるんだ!!
行政書士は、裁判手続きを取り扱いませんので、訴訟法は試験科目になっていません。
にもかかわらず!
行政書士試験で重要とされる行政法では、この訴訟法の知識がなければ何を言っているかわからない分野が存在します。
特に顕著なのが、行政不服審査法と行政事件訴訟法です。
これも行政法の一部の法律なのですが、この分野は、訴訟法を勉強したことのある人は理解しやすい傾向にあります。
訴訟法として刑事訴訟法もありますが、特に行政法との関係では全く知識の相互性はありません。
特に、行政法と知識の相互性がある訴訟法は、民事訴訟法です。
ここの前提知識がある場合、行政法の理解が非常に楽です。
んじゃどう勉強すりゃいいの??
ただし!!
正直、試験科目でない民事訴訟法を勉強してから行政法を勉強することほど無駄なことはありません。
そこで、訴訟法の関係する分野(行政事件訴訟法・行政不服審査法)では下記のように考えると非常に勉強しやすいと思います。
●【ポイント】
- ◎行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法は訴訟法的な考えが必要ということ
- ◎訴訟法的考えとは、『裁判する(行政が動くには)にはどう言う条件が必要か?』これの問題であることが多いということ
- ◎迷ったら、体系(テキストの目次)に戻って、今どこのどういうところの話か再確認すること
これを念頭に置いておくと勉強が大変楽になります。
3つ目は、どの法律科目でも共通することですが、これは行政法でも特に重要なので、改めて記述しています。
あくまでこれは応急処置となりますが、行政書士試験の対策としては、これで十分です。
3)民法の考え方をマスターしている必要がある
行政法から民法へ遡ると、非常に分かりにくくなる
行政法で、民法で勉強すべき、原則修正パターンなどの独特の法的思考を勉強しようとすると、混乱します。
民法は基本的な考え方から勉強していきますが、行政法は、その応用的な部分から出発しますから、一番最初に勉強すると、難しく思えるのです。
法的思考の基礎を民法で勉強しておくほうが、混乱せず勉強が進みます。
行政法はいろいろな法律の寄せ集め
行政法はいろいろな法律の寄せ集めです。
そして、民法は全ての法律の基礎となる科目です。
そのため、民法の考え方を行政法に応用できる場合が少なくありません。
民法の基礎ができていないと、行政法がわかりにくくなり、行政法の迷路で迷うことになります。
特に、国賠法はもう民法そのものです。
民法の不法行為の分野の考え方がそのまま妥当する分野です。
国賠法に関しては、民法の不法行為をしっかりやっていれば、それを応用し解釈と定義を習得するだけで十分といえます。
4)体系・法律用語が分からなければ意味不明
これはどの法律でも関係することです。
行政法は、覚えるべき用語が非常に多く、覚えるのが大変です。
従って、まずは、この用語をしっかり勉強してからでなくば、高度な判例を読んでもチンプンカンプンです。
また、体系も他の法律に比べて一般性がなく複雑。
初めて学習する人が、行政法を勉強した場合、その勉強方法が各分野でころころ変わることから、面食らうと思います。
これへの対策は、暗記を怠らないことと、やはり、早く最後まで学習し、また繰り返すということが対策になると思います。
地道な、努力がカギです。
5)いくつもの法律が合わさって『行政法』と言われており、各法律で考え方を変える必要がある
一般的に『行政法』と呼ばれる行政法ですが、専門的には『行政法』という法律は存在しません。
行政に関わる法律を呼びやすいように、まとめて行政法と呼んでいるだけだそうです。
つまり、行政法は、違う種類の法律がごちゃまぜになっているということです。
そして、やっかいなのが、ごちゃまぜになった法律一つ一つの『考え方』が異なる点です。
例えば、ひとつの分野を勉強し終わった後、別の分野に進むと、前に勉強した分野とは180度違う考え方をしなくてはなりません。
この切り替えが、法律を学んだことのない方にとって、混乱の素、理解しにくい点になります。
『行政法は何だか一貫性がなくよく分からない科目だな?』と印象をもってしまうのはこれが原因です。
対処としては、下記を参考にしていただければ、勉強がスムーズに進むでしょう。
●【ポイント】
- ◎全体で共通する考え方はどういう手続きを経れば行政は動くのか?(裁判はできるのか?)
- ◎行政救済法の行政不服審査法と行政事件訴訟法は、前述の訴訟法的思考が大切
- ◎行政作用法は行政行為の定義に当てはまるか当てはまらないかが重要(これで体系がわかれる)
行政法は、特に行政事件訴訟法・行政不服審査法・行政手続法が天王山です。
この分野を中心に考え方がコロコロ変わるということを覚えておけば勉強がやりやすくなります。
上記はあくまでざっくりとしたポイントです。
まとめ
見てきたことをザッとまとめました!!
●【行政法を分かりにくくしている5つの特徴】
- 1)前提として憲法の考え方・知識が必要な部分がたくさんある
- 2)訴訟法(特に民事訴訟法)の概念を知らなければ、理解しにくい場面がある
- 3)民法の考え方をマスターしている必要がある
- 4)体系・法律用語が分からなければ意味不明
- 5)いくつもの法律が合わさって『行政法』と言われており、各法律で考え方を変える必要がある
お疲れ様でした。
行政書士試験では、法律科目のうち行政法の重要度がだいぶ高い傾向にあります。
でも、行政法は、主要な法律ではなく、あまり身近な法律でもないので、初めて法律を勉強するような方が、かなりしんどい科目になりがちです。
当ブログでも、行政法に関する記事は多数ありますので、行政法の対策で困っておられる方は、是非参考にしていただけると幸いです。
それでは、この記事はこのくらいで。