1時間で民法がわかった!皆が勉強する基本中の基本31項《債権法編》【行政書士・法律資格用】

公開日: : 最終更新日:2014/07/17 法律系科目対策, 法律系資格全般 , ,

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《じっくり読んだときの読了時間》: 2318

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 前回の総則・物件編からかなり期間が空いてしまいましたが・・・。

 やはり債権法の分量は多く大変でしたので、ご容赦くださいませ。

 今回は、前回の記事に引き続き、民法の基本中の基本を勉強できる記事となっています。

 基本的には、ここで書く内容は本当に基本中の基本の内容になります。

 是非、何度か読み返していただき血肉として頂ければ幸いです。

2014年 7月 16日  更新しました!!

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(1)債権法の特徴《総則編》

民法の債権総論

 債権総論は、民法の中でも非常に重要な分野です。

 民法の物権法の分野と並んで、手を抜ける部分の方が少ないです。

 テキストなどの体系通り書いていくと膨大な量になります。
 
 ですので、この記事では勉強を始めたばかりの方に向けて・・

 『ここ知っとけば混乱しないよ』

 『ここだけは常識にしてなくちゃ民法は全くわからなくなりますよ』
 
 そういう部分に絞って書いていきます。

 あと、一般に勉強しても分かりにくいと言われる民法の条文・判例・法律論が多いのもこの分野です。
 
 その点についても僕の経験から注釈を書いていこうと思います。

民法の債権法の特徴《総論編》項目

  • 1)特定ってなんぞや?<不特定物と特定物>
  • 2)『給付をするのに必要な行為を完了』(401条2項)
  • 3)債務不履行⇒損害賠償と解除
  • 4)受領遅滞が意味不明な件
  • 5)契約の成立は・・・
  • 6)同時履行の抗弁・・発動
  • 7)危険負担という変な名前
  • 8)担保責任
  • 9)債権は譲り渡すことができるのだ
  • 10)債権の消滅

1)特定ってなんぞや?《不特定物と特定物》

特定物の不特定物とは?

 債権総論の中でも、『ここを理解していないと分からなくなるよ』というキモの部分が、この『特定』の話です。

 民法では、頻繁に『特定物』『不特定物』という言葉が出てきます。

 この不特定物・特定物という物は、債権の目的(対象)になる物のことを指します。

 不特定物を目的とする債権を『不特定物債権(種類物債権とも)』といいます。

 これに対して、特定物を目的とする債権を『特定物債権』といいます。

 この債権の種類は常識にする必要があります。

特定物と不特定物の具体例

 では、具体的に特定物・不特定物とはどのようなものを言うのでしょうか?

 まずは下記の図でイメージを持っていただき、その後具体例をご覧くださいませ。

 

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特定物・不特定物の具体例

 特定物のイメージとしては、他に換えがきかない物という感じですね。

 代表例は家や土地や絵画・中古のカメラ(新品は不特定物になる)等です。

 これに対して、不特定物の具体例は、新品のカメラ、新品のテレビなど『代用のきくもの』が代表的です。

 何が特定物か不特定物かについては、勉強すればすぐ身につきますので心配はいりません。

特定物と不特定物を区別する意味

 では、なぜこの特定物を不特定物の区別をしっかりしなければならないのでしょうか?

 それは、民法では、特定物か不特定物かによって、その考え方(問題の処理の仕方)が全く違ってくるからです。

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 民法では、ある概念に該当するかどうかで、話の流れが違ってくる分岐点がいくつもあります。

 特定物・不特定物の区別は、その中でも根っこに当たる部分です。

 例えば、下記のような場合。(面倒ならば読み飛ばしていただいても構いません)

処理の具体例

 例えば、契約で、ビールを10本届けるという義務を負った債務者(酒屋さん)がいるとします。

 ところが配達途中に、ビールを5本割ってしまいました。

 この場合、債権者(お客)は『代わりの10本を届けて』と言うことができます。(常識通りですね)

 これを調達義務(非常に重い義務)といいます。

 これに対して、例えば、伝説のワイン10本をオークションで落札したとしましょう。

 このワインは特定物ですね。(オークションで落札した場合、その物の個性に着目していることになりますから、債権の目的物は特定物ということになります)

 そして、オークション会社に自宅に届けてもらった後、調べてみるとワイン1本が劣化していました。

 この場合、上記のビールと同じように『代わりのワインを持ってきて』とお客は言うことができません。

 あとは、民法の特定物に適用される制度(担保責任)を使ってオークション会社に文句を言うことになります。

 このように、特定物か不特定物かによって民法上の問題が生じた場合の処理が全く違ってきます。

不特定物が特定物に変化するとき

 ところで、この不特定物についてですが、不特定物は特定物に変化する場合があります。

 その条件となるのが『特定』という債権の目的を決定する制度なのです。

 つまり、不特定物がある条件を満たせば特定され、特定物になるということ。

 もともと不特定物を目的にしていた不特定物債権が、特定の条件を満たすと、特定物債権になるのです。

 ということは、この特定があるか無いかで不特定債権の民法上の扱いが違ってくるのです。

 そこで、どんな場合にこういう変化が起こるのか?

 民法は、一体どんな条件で特定が生じるとしているのでしょうか?

 次項の『給付をするのに必要な行為を完了』(401条2項)の話につながります。

2)『給付をするのに必要な行為を完了』(401条2項)

 民法では、給付をするのに必要な行為を完了したら、不特定物債権は、特定物債権に変化(種類物債権〈不特定物債権〉の目的が特定の物に定まる)すると条文に書かれています。

 ただ・・・『給付をするのに必要な行為を完了』という言葉って具体的に何を指すのでしょうか?

 実は、その具体的な場合は民法には書かれていません。

 この部分は判例の解釈によって定まります。
 
 そして判例のいう『給付をするのに必要な行為を完了』は、持参債務と取立債務で違ってきます。

用語解説
  • 持参債務とは
  •  ⇒義務を果たす場合に、義務者(債務者)が相手のところまで、債務の目的物を届ける債務をいいます。

     例えば、車を買って、後日ディーラーが自宅まで買った車を届けてくれるようなものです。

  • 現実の提供とは
  •  ⇒簡単に言うと、もう債権者の目の前にはいどうぞ!と持っていくことをいいます。

     上記の車の例で言うと、ディーラーが自宅まで車を届けてくれ、はいどうぞ!と車の鍵を差し出しているような場合です。

  • 取立債務とは
  •  ⇒これは持参債務と違って、自分が取りに行く場合です。

     上記の車の売買の例で言うと、ディーラーが自宅まで届けてくれるのではなく、後日自分がショップまで取りに行くよという場合です。

  • 分離・準備・通知とは

 まぁ読んで字のごとくですね。

 相手に準備できましたと通知し、相手が取りに来れば、直ちに引き渡せるような状態にしておくということです。

 持参債務⇒現実の提供

 取立債務⇒分離・準備・通知

 判例はこれを特定の条件としていますし、僕らが資格の勉強をする際に学ぶのもこれだけ覚えておけば困ることはありません。

 これが民法上の特定の条件です。

 非常に重要で、常識にしないと債権法の論点が意味不明になってしまいます。

3)債務不履行⇒損害賠償と解除

債務不履行の種類

 『債務不履行』。

 この言葉は、法律を勉強したことのない方でもよく聞く言葉だと思います。

 なんとなく『契約の義務を果たさないことかな?』といったイメージをもっておられる方が多いのではないでしょうか。

 まさに、その通り。

 債務不履行とはザックリ言えば、契約をした当事者の一方が、その契約で発生した義務を果たさないことを指します。

 つまり、発生した『債務』を『履行(負った義務を果たすこと)』しないことです。

 民法上は、この債務不履行には大きく3つの種類があります。

債務不履行の種類
  • 履行遅滞
  •  ⇒義務を果たす期限に遅れているような場合です。

  • 履行不能
  •  ⇒契約などで債権が発生した後、義務を果たす(履行する)前に、履行が不可能になるような場合です。

     例えば、3月11日に不動産屋さんと家を買う契約をしました。

     この際、家を引き渡す期限を3月15日にしました。

     ところが、家を引き渡す期限(3月15日)の前に、その家が不動産屋さんの『過失』で燃えてなくなってしまったような場合です。

     重要なのが、『不動産屋さんの過失』で燃えたというところです。

     これは、債務不履行の成立要件である『帰責性』を満たす事実です。

     これがないと、危険負担という別の問題になってしまいますので、ここポイントです。

  • 不完全履行
  •  ⇒義務を履行してくれたのですが、その履行が完全ではないような場合です。

 基本的には、債務不履行というと、この3つを瞬時に思い出すことになります。

 ただ、問題になるのは圧倒的に、履行遅滞の場合ですのでとりあえずここを完璧にすればほとんど困りません。

 これが民法上で定められている基本の債務不履行です。

 債務不履行は要件の検討が、特に重要ですので、常に『今どの要件の話を学んでいるのだろうか?』と意識しましょう。
 
 これを心がけると圧倒的に分かりやすくなります。

債務不履行になるとどうなるのか?《債務不履行の効果》

 さて、この債務不履行に該当する場合、民法上ある効果が発生します。

 債務不履行の効果は『損害賠償請求権の発生』と『解除権の発生』です。

 損害賠償については、TVでも頻繁に出てくるワードですので、どのようなものかはイメージできる人が大多数でしょう。

 でも、解除は『なに?』と思う方もいらっしゃるかもしれません。

 解除というのは、砕いて言うと『契約をなかったことにする意思表示』です。

 契約が解除されると、通説的な見解では、『契約は遡及的(そきゅうてき)に消滅』します。
 
 つまり、契約をした当時に、時間をさかのぼり、その時点で契約はしていなかったのと同じになったと考えるのです。

 初めの内は『解除をすると契約は無かったことになるんだな』というざっくりしたイメージで全く問題ありません。

債務不履行の帰責性

 債務不履行には、その種類に応じて、要件があります。

 そして、債務不履行に基づく損害賠償請求(415条)をする場合には、債務不履行の3類型のどれかに該当し、さらにいくつかの要件を満たす必要があります。

 その中でも、初めのうち特に意識すべきなのが415条『債務者の責めに帰すべき事由』という要件です。

 これを『帰責性』といいます。

 これは、債務不履行と危険負担のメルクマール(区別基準)になるだけでなく、この意味を解釈した様々な論点がある所です。

 ここをないがしろにすると、その後、他の制度との区別などで混乱する原因になりますので注意が必要です。

 まだまだ続く!!民法債権総論♪
 
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