最高裁判例でた!父子関係訴訟で民法家族の頻出ポイントをサクッと勉強!《行政書士試験》
2014年7月17日に、最高裁判所が、父子関係に関して初めての判断をしたようです。
今日ニュースになっていて、朝読んでから、『これネタになんじゃねーかな?』と考え、ざっくり書いてみました。
法律資格試験でも、よく出されている知識も関係があるところなので、それに絡めて、僕の個人的な意見は最低限にとどめ、出来る限り役立つ記事にしてみたつもりです。
こういう、ホットなネタを書くのは、あまり好きじゃあありませんが、この記事があなたのお役に立てば幸いです。
それでは、早速!!
2014年7月17日!!父子関係訴訟で最高裁判所が初めての判断をしましたね
父子関係訴訟ってどんな話?
まぁ、僕は専門家ではありませんので、ざっと、ニュース記事の引用をしていきたいと思います。
今日の朝、日課のニュースチェックをしていると、下のような記事がUPされていました。
父子関係訴訟 「血縁だけで決めるなんておかしい」判決待つ男性
「今も子供のことは毎日考えています。忘れたことなんてないですよ。血縁関係だけで親子関係を決めるなんておかしい」。DNA型鑑定結果などを理由に、1、2審で娘との父子関係を取り消された北海道の40代の男性は、「わが子」への変わらぬ愛情を胸に、最高裁の判決を待つ。
父子関係訴訟 「血縁だけで決めるなんておかしい」判決待つ男性
産経新聞 7月17日(木)8時10分配信
これ読んだとき、『あの話か』と思って、注目していました。
そうすると、時間をみると夕方にupされた記事のようですが、下記のような記事がまたupされていました。
<DNA鑑定>法律上の父子関係取り消せず 最高裁が初判断
DNA型鑑定で血縁関係がないと証明されれば法律上の父子関係を取り消せるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は17日、父子関係は取り消せないとの初判断を示した。科学的鑑定より法律上の父子関係を優先させることが確定した・・・
<DNA鑑定>法律上の父子関係取り消せず 最高裁が初判断
毎日新聞 7月17日(木)15時11分配信
【ヤフーニュースより引用】
最初、僕がアホなのか、新聞の記事をいくら読んでも、事実関係が分からず混乱しました。
でも、どうやら『法律上の父』が『科学的根拠に基づく父』を父ではないと否定している裁判なんだとようやく理解しました。
裁判自体は、離婚裁判のようですね。
もう昼ドラの泥沼の展開のようです。
夫婦がいて、子供ができたんだけれども、妻が言うことにはその子供が、浮気相手の子供だったという話。
男だったら身の毛もよだつような恐ろしい話で、ここに注目すると、『なんともいえねぇ~』というくらい、ひどい話なんですよね。
この裁判で注目されたところ
この裁判で、最も注目されたのは簡単に言えば『この夫婦の子供の父親が誰なの?裁判所決めてよ』という点だと思います。
つまり。
『法律上の父(民法で父として推定される父)』
と
『科学的根拠に基づく(DNA鑑定)父』
のどちらが優先されるのか?
法律関係者は、たぶん『最高裁どんな判断するんだろうな~』と思って判決に注目する人もいたのではないかと思います。
あまり最新ニュースの記事を書くのは好きではないのだけれども、今回書いたのは・・・
あまりホットなニュースをピックアップして記事を書くのはあまり好きではありません。
でも、今回のこの内容は、前々から、ずっと『この民法の規定はマジで男にきついぞ!!(でも、子供にとってはいいかも)』と思っていた条文に関してのニュースでした。
そのため、特別に取り上げました。
まぁ、法律資格試験に頻出の知識にも当たるので、当ブログで、資格関連の話題と関連させやすかったというのも理由の一つです。
この父子関係訴訟から、法律資格試験に頻出の知識を勉強する!
ということで、法律資格試験の話題と少し絡めてみましょう。
民法家族:嫡出の推定とは??
民法には、下のような規定があります。
子の嫡出推定の規定
- 妻が婚姻中に懐胎(妊娠のこと)した子は夫の子と推定される(772条-1項)
- さらに婚姻成立の日から200日後、または婚姻の解消もしくは取り消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定される(同2項)
※条文の文言そのままではありません。
今回の父子関係訴訟では、この推定規定が問題になっています。
この推定規定によって、生まれた子供が、夫の子とされた父子関係を『法律条の父子関係』といいます。
つまり、法律で父と子の関係があるとされている状態のことですね。
そして、この話でめちゃくちゃややこしいのが、この法律上の父子関係には、『科学的な父子関係がある必要がない』ということです。
例えば、結婚している夫婦の間に生まれた子供であれば、たとえ、その子供が別の男の子供であると、DNA鑑定で判明しても、法律上は、夫の子供であると推定されてしまいます。
これが一番エグイ形で問題になるのが、『子供が生まれて1年以上経過して別の男の子だと判明した場合』でしょうね。
民法の規定で推定される『嫡出子』にもいくつか種類がある
民法の772条の話で、推定が問題になったとき、いくつか嫡出子の分類があります。
嫡出子の種類
- 推定される嫡出子(推定が及ぶ場合)
- 推定される嫡出子(推定が及ばない場合)
- 推定されない嫡出子
- 二重の推定が及ぶ嫡出子
この4つがあります。
この話は、法律資格試験では頻出で、最後には常識にしている必要のある知識です。
推定される嫡出子(推定が及ぶ場合)
普通に、772条で推定を受ける子供のことです。
結婚した夫婦の間に普通に生まれればこの推定を受けます。
この推定を覆すには、『嫡出否認の訴え』による必要があります。
推定される嫡出子(推定が及ばない場合)
これはちょっとややこしいですが、結婚している夫婦の間に生まれた子供であるものの、『妻が妊娠することが不可能な事情』がある場合には、ここに当たります。
例えば、夫婦として婚姻は継続しているのだけれども、夫はずっと行方不明であった場合(判例)などは代表的な場合です。
ここを覆す場合、『親子関係不存在確認の訴え』による必要があります。
推定されない嫡出子
これは単純に、722条が適用されない場合ですね。
嫡出推定の日数に合わないため、推定は受けないのだけれども、夫婦の間に生まれている子供ですから嫡出子は嫡出子です。
子供の身分を争うには、推定の及ばない場合と同様の『親子関係不存在確認の訴え』による必要があります。
二重の推定が及ぶ嫡出子
これは、まぁ、重婚関係にある場合に、子供が生まれると、ここに当たります。
ここを争うには、『父を定める訴え』による必要があります。
- 推定される嫡出子(推定が及ぶ場合)
- 推定される嫡出子(推定が及ばない場合)
- 推定されない嫡出子
- 二重の推定が及ぶ嫡出子
⇒嫡出否認の訴えで争う
⇒親子関係不存在確認の訴えで争う
⇒親子関係不存在確認の訴えで争う
⇒父を定める訴えで争う
※まず、どの嫡出子に当たるか認定し⇒訴訟類型を選ばせる問題が頻出です。
父子関係訴訟で問題になるのは、『推定される嫡出子(推定が及ぶ子)』
ここが、問題になっています。
推定される嫡出子(推定が及ぶ子)の身分関係を争う場合、前述の通り嫡出否認の訴えによる必要がありました。
この訴えは、訴えの提起期間が『夫がこの出生を知ったときから1年以内』とされています。
つまり、『俺の子供が生まれた!』と知って1年が経過すると、もう『実は俺の子供じゃなかった!!』と裁判をすることはできません。
例えば、子供が生まれた1年と6ヵ月が経過しました。
ある日、妻より、『実は貴方の子じゃないの』と打ち明けられました。
でも、そのとき『自分の子供じゃないんだ!!』と言っても無駄です。
法律上の父子関係は覆せず、他の男の子供を、一生自分の子供として育てなければならないのです。
離婚しても養育費はもちろん払う必要がありますし、相続も発生するようです。
先に、『エグイ』という話をしましたが、これかなりきつい話です。
『そんな話そんなにねーよ』と思われるかもしれませんが、意外に多いそうですよ。
結婚前の彼女が遊んでて、そのまま結婚したら、子供ができたが、実は、結婚前に遊んだ男の子供だった。
そういう話は少なくありません。
- 推定される嫡出子(推定が及ぶ場合)の父子関係を争うには嫡出否認の訴えによる必要がある
- 嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知ってから1年以内が訴えの提起期限
- 嫡出否認の訴えを提起できるのは『夫』だけ
超頻出です!!!
父子関係訴訟の話と結論
今回、最高裁判所は、結論として、『法律上の父子関係が優先するよ』と判断したようです。
つまり、科学的根拠に基づく(DNA鑑定)父子関係を優先せず、法律を優先したということです。
まぁ、民法の772条の『父子関係の早期安定』という趣旨を重視したのでしょう。
この裁判は、僕が上で『エグイ』といった事例とは真逆の事例のようです。
つまり、『科学的根拠に基づかない父である、法律上の父(夫)が、自分の子だ!!と主張』した話のようです。
僕は前々から、『こりゃ男に厳しい規定だなぁ』と思っていたので、始めこのニュースを読んだとき、全く事実関係が理解できず、混乱しまくりました。
やっぱり先入観をもって、事実を見ていくのはダメですね。
『こういう人もいるのか』と新しい価値観に触れた気分です。
まぁ、長年自分の子供として育てて、離婚だからと、父子関係まで否定されてはたまらんという気持ちは少し分からなくもない気がします。
最後に一言
いかがでしたか?
父子関係訴訟については、判例の事案は置いといて、これに関する知識を見ていくと意外と試験に頻出の知識をおさらいできます。
民法の知識で、家族の分野は、そもそも出題頻度の低い分野ですが、ここでの知識は、かなり重要で、いつ出題されてもおかしくない知識だったりします。
今回の記事は、朝のニュースを読んでザッと書いた記事なので、重厚な内容にはなっていませんが、まぁ、役立ててもらえればうれしいですね。
それでは、今日はこのくらいで。