1時間で民法がわかった!皆が勉強する基本中の基本13項《不法行為/債権の履行確保編》【行政書士・法律資格用】

公開日: : 最終更新日:2014/07/17 法律系科目対策, 法律系資格全般 , ,

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《じっくり読んだときの読了時間》: 2122

(1)不法行為等(契約以外の債権発生原因)【続き!!】

債権発生!!

◇4)-1 不法行為(一般不法行為)

一般不法行為の具体例

 一般不法行為の具体例としては交通事事故の例がよく使われます。

 Aが車を運転しており、交差点を横切る際、交差点を横断中のBを跳ね飛ばしてしまうような場合が代表的な例です。

 この記事の一番初めに書いたことで、当事者の意思の基づかない債権の発生原因という話をしましたが、この不法行為が代表的な例です。

 ですので、不法行為に基づく債権(損害賠償請求権)の発生は厳格な要件に基づいて検討されます。

 不法行為の要件は下記の通り。

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不法行為の要件

  • 故意または過失によって
  • ⇒『相手を痛めつけるぞ!』という強い積極的な意思や、『ついうっかり』という不注意。

  • 権利または利益の侵害
  • 損害の発生
  • 侵害行為と損害の間に因果関係があること
  • ⇒侵害行為がなければ、普通に考えて損害は発生していなかったよね?と言えるような場合。
     侵害行為とは、先の交通事故の例でいうと、車をBにぶち当てる行為。

  • 責任能力
  • ⇒自分のやっていることが、悪いことで法律上責任を問われることだと理解できる能力です。

  • 違法性阻却事由のないこと
  • ⇒刑法では一大問題になるところですが、民法ではまずお目にかからない要件なので、学習初期段階ではすっ飛ばして可。

 一般不法行為が成立するためには、この6つのハードルを超える必要があります。

 この要件は全て、一瞬で思い浮かぶようにしなければならないほど重要です。

 一般不法行為の要件は、不法行為の分野攻略の第一歩ですので、今の内に何も見ずにズバズバ出てくるようにしておきましょう。

◇4)-2 不法行為(監督者責任)

 次は、監督者責任についてです。
 
 特殊の不法行為の話に入っていこうと思います。
 
 それでは、イメージを持ちやすいように具体例を。

●【監督者責任の具体例】

 9歳の未成年であるAが、自宅の庭で野球をしていた際、振り回したバットがBに当たり、Bに怪我をさせてしまった。(Aの親はCである)
 

 
 
 具体例を見て頂くとイメージしやすいと思います。

 上記のような場合、Aの監督者である親Cに対して、Bから損害賠償請求がされる事になります。
 
 これが、監督者責任です。
 
 具体例でのポイントはAが9歳であるということです。
 
 つまり、未成年で『責任能力』がありません。
 
 という事は、Aについては、一般不法行為の条件(要件)を満たさず不法行為が成立しません。
 
 となれば、被害者であるBはAに対して、損害賠償の請求ができないということになります。 
 
 でも、これでは、ぶん殴られたのにもかかわらずBは泣き寝入り・・となり可哀想ですよね?
 
 そこで、責任能力の無い者を監督していた者に対して、損害を負担させようというのが監督者責任です。
 
 監督者責任が成立するためには、責任能力以外は、行為者(A)が一般不法行為と同じ条件(要件)を満たす必要がありますので注意しましょう。
 
 (+α《714条1項ただし書きの要件》が必要ですので一度条文を読んでみましょう)
 
 ちなみに、責任能力ですが、判例は12歳前後であれば責任能力ありと判断しています。
 
 12歳を超えていれば責任能力有りということではなくて、時と場合により柔軟に判断しています。
 
 ただ、試験との関係では、まぁ12歳くらいと覚えておけば問題ありません。
 

◇4)-3 不法行為(使用者責任)

 監督者責任とよく似ていて、行為者ではなく、別の人に責任を転嫁するような規定です。
 
 イメージしやすいようにここでも具体例を添えておきます。

使用者責任の具体例

 運送業者Aの運転手Bが、荷物を運送中、不注意で通行人Cと交通事故を起こしてしまった。

 AはBの使用者(雇い主)であるが、この場合、CがAに対して使用者責任を追求し賠償請求を行う。

 

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 使用者責任を学ぶ上で忘れてはならないのは、上記具体例で言うBに一般不法行為が成立しなければならないということです。

 つまり、Cは運転手Bに対しても不法行為責任を追及できる状態である必要があるのです。
  
 もっとわかりやすく言うと、CがAに使用者責任を追求するためには、《1:Bに対する一般不法行為の要件》+《Aに対する使用者責任の要件》この2つの要件を満たす必要があるということです。

これ結構見落としがちな点です。
  
では使用者責任の要件は?
 
 

使用者責任の要件

  • 1)ある事業のために他人を使用していること
  • 2)事業の執行につき損害を加えたこと
  • 3)被用者に一般不法行為の要件があること
  • ⇒被用者とは上記具体例の運転手Aです。

  • 4)715条1項ただし書きの免責事由のないこと

 
これは何も見ずに言えなければなりません。

この使用者責任の要件で一番問題になるのは、2)の要件です。

いかなる場合に『事業の執行につき』と言えるのか?

 判例は『行為の外形を標準として事業の執行につきと言えるかどうかを』判断するといっています。
 
 簡単に言うと、客観的に外から見たままで判断しましょうということです。
 
 勉強を初めてすぐの頃は、この程度の理解で十分です。

使用者責任の趣旨

 民法は自己責任の原則を採用しています。
 
 では、なぜ使用者責任のような他人の責任を第三者が負わなければならない規定があるのでしょうか?

 先の監督者責任であれば、『親なら子の責任は取るべき』といった根拠が想像できますが、使用者責任の根拠はイメージしにくいかもしれません。

 使用者責任が設けられた背景は、『使用者は他人を利用することによって、広く利益を得ているのであるから、利用した他人から発生する危険も負担すべきとするのが公平でしょ?』という考え方にあります。

 これを、民法では報償責任の原理といいます。

 これが、使用者責任の根拠(趣旨)です。

 この考え方は死ぬほど出てきますので、今の段階で仲良くなっておきましょう。

 以上までは、当事者の意思によらない債権の発生原因でした。

 特に不法行為のところは判例も多く、法律系資格試験では頻出の分野です。

 ここで、書いたところは本当にさわり程度の知識ですので、全て瞬時に何も見ない状態でポンポン飛び出す状況になる必要があります。

(2)債権の履行確保手段(担保について)

民法の履行確保手段

 この分野も非常に大切です。

 ここまでの話は、債権がどのようにして発生するのか?について書いてきました。
 
 債権とは、特定の人が特定の人に対して何らかの請求ができる権利のことをいいました。
 
 この債権は、『権利』ですから強力なイメージをもたれるかもしれませんが、それは勘違いです。
 
 債権は、民法では非常に弱い権利として扱われ、物件が、どっしりとした山のイメージなら、債権は海の昆布のようなゆらゆらと弱いイメージです。
 
 そんな弱い権利だからこそ、民法は債権を実現を確保するためにいろいろな制度を用意しています。
 
 その代表が『担保』と言われる制度です。
  
 具体例として、有名なのは、『連帯保証人』でしょう。
 
 子供の時に親から『連帯保証人だけはなってはいけないよ』と教育されるあれです。
 
 債権は非常に弱い権利ですが、担保という制度を利用することによってより強化してやることができます。
 
 ここでは、その担保を始めとした債権の履行を確保する制度について見ていこうと思います。
 

履行確保手段の目次

  • ◇1)責任財産の保全
  • ◇1)-1 責任財産の保全(債権者代位権)
  • ◇1)-2 責任財産の保全(詐害行為取消権)
  • ◇2)人的担保(保証)
  • ◇3)物的担保
  • ◇3)-1 物的担保(抵当権)

◇1)責任財産の保全

 この責任財産の保全の場面は、民法では例外中の例外である、他人の権利に干渉できる場面です。

 責任財産とは、債務者の持っている財産・資産とイメージしておけば問題ありません。

 これは民法でも例外的な場面になります。
 
 というのも、普通、自分が持っているお金や物は自分のものであって、自由に利用したり消費したりできますよね?

 個人の資産や財産は個人の自由で利用・処分でき、通常他人はこれに干渉することができません。
 
 例えば、自分が所有している車があるとして、この車の利用方法について、隣住んでいるおばちゃんがとやかく言う権利はないはずです。

 でも、民法は一定の場合には、他人の財産へ干渉する事を許しています。

 それは、責任財産を保全(確保)しなければならない場合です。

 例えば、債務者が、破産してしまい財産が非常に少なくなってしまったような場合が想定されます。

 大きくは下記の2つの制度があります。

責任財産の保全の制度

  • 債権者代位権
  • 詐害行為取消権

 では早速。

◇1)-1 責任財産の保全(債権者代位権)

 債権者代位権です。

 下記の図を見て頂くとイメージしやすいでしょう。

saikennsya

 勉強初期段階では、債権者代位権については、このイメージを頭に持つだけで十分です。
 
 ポイントは、他人の権利に干渉するイレギュラーな場合であることと、後述する『詐害行為取消権』との比較です。
 
 ちなみに、債権者代位権は、詐害行為取消権より行使できる場面が多いです。

 これらの責任財産の保全の制度が利用できる場合は、通常、債務者が『無資力』になった場合に限られます。

 具体的には、債務者の唯一の財産が、上記図で言うA⇒Cの債権だけであるようなときです。

 つまり、Aの持っている財産が極度に減少し、Bが債権を行使しAに請求しただけでは債権を満足させることができないような場合ですね。
 
 もっと簡単にいうと、借金を自分の財産だけで返せなくなった場合ですね。

 この場合、Bは、AのCに対する債権をAに代わって行使することができます。

 債権者代位権も詐害行為取消権も、この権利を行使するためには、Aが無資力である必要があります。

 これを、無資力要件といいます。

 詐害行為取消権の場合はこの要件が必要ですが、債権者代位権の場合は、必要でない場合もありますので注意が必要です。

 ただ、勉強を始めたばかりの初期段階では、上記図のイメージをもっていれば十分です。

◇1)-2 責任財産の保全(詐害行為取消権)

 詐害行為取消権です。

 『さがいこういとりけしけん』と読みます。

 まずは、下記の図を見てイメージを持って頂ければ幸いです。

sagaikoui

 債権者代位権と違って、少し分かりにくいかもしれませんので、少し説明させて頂きます。

 まず、上記図でAからCへ家でもなんでも財産を譲渡したと考えてください。

 ポイントは、図の『唯一の』というところです。

 つまり、Aの持っている財産をCに譲渡してしまえば、Aはスッカラカンになってしまうという事です。

 これを、債権者代位権の項で説明した用語を用いて表現すると『Aは無資力になる』ということですね。

 通常、自分の財産を譲渡しようが壊そうが、Aの自由です。

 でも、Bにとってはたまったもんじゃありません。

 なぜなら、Aが無資力になるということは、BはAに対する債権を回収できない可能性が格段に高くなるからです。

 そこで、債務者(A)が、債権者を害する形で財産を処分した場合、これを取り消す権限を、民法は債権者に与えました。
 
 これが、詐害行為取消権です。

 勉強を始めてすぐの頃は、そんな制度があるんだと上記図でイメージできれば十分でしょう。

 次ページからは人的担保です!!
 
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学鬼
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