行政書士:『今高校生ですが、資格取ろうと思います』に物申す
受験資格のない資格試験はいくつかありますが、行政書士資格もその一つです。
一部公務員や難関資格の場合、国家資格全般は、大学・大学院卒業資格や前提となる難しい教養試験を突破する必要があります。
こういう条件を満たして初めてスタートラインに立てます。
国家資格では、こういう受験資格がある資格は多いです。
この点、行政書士資格は受験資格が緩やかで、学生さん特に高校生の方でも受験でき資格を取得する事ができます。
真偽のほどは置いといてよく『一発逆転』なんて言われるのはここに由来するようです。
こういった状況を受け、『高校生ですが、行政書士資格を取りたいです』という質問をよく見かけます。
果たしてどんなメリットがあるのでしょうか?
INDEX
高校生の内に国家資格(行政書士資格)を取得するメリット
行政書士は、専門職です。
法律家とまでは言えませんが、法律を使い行政的な仕事をする専門家と言えます。
料理人という職業も同じ専門家ですが、よくドラマなどに出てくる料理人さんは、若いうちから何年も修行をして10年で一人前というイメージがあります。
その他、伝統工芸の職人さんも同じような印象。
僕も大好きな番組ですが、和風総本家を視聴すると、長年鍛えた職人さんのすごさがわかります。
同じような専門家である行政書士も、資格制限がありませんから、早いうちから資格をとって実務にどっぷり浸かる方が良いのでは?と思えます。
高校生の時期に行政書士資格を取得した場合、より早く実務の修行をすることができますので、有利であるということはメリットだと言えます。
また、資格を取得する場合、一定以上継続して勉強する必要が有り、自己管理能力をつける事は必須です。
そのため、こういった自己管理能力を鍛えることができ、早いうちから勉強・努力の習慣を身につけることができます。
これも、高校生のうちから資格取得を目指すことのメリットと言えるでしょう。
社会人になってから、こういう能力を鍛えるのは結構骨が折れることですから、10代からそういう習慣をつけると将来的にかなり有利になるでしょう。
●【ポイント】
高校生の時期に行政書士資格を取得するメリット
- 早いうちから資格を取得し実務経験を積むことによってより早く一人前になれる
- 社会人となってからでは身につけることが大変な、努力・勉強の習慣を身につけることができる
- 早いうちに将来の指針を決めることができる
この辺が、高校生という早く若い時期に行政書士資格を取得する大きなメリットではないかと思います。
高校生の間に行政書士を取得することのデメリット
ここまで書いてきたように、行政書士資格を早いうち(高校生の時期)に取得する点についてはいくつかメリットを見つけることができました。
この項では逆にデメリットを考えてみましょう。
僕自身は、大学を出てから行政書士資格を取得し、高校時代は資格や専門学校というよりは大学に興味がありました。
そのため、高校生の段階で行政書士資格を取得することに対しては、デメリット面の方が目に付きます。
ですので、少し偏った見解かもしれませんが、リスクを顕在化しているという意味で参考にしてもらえると嬉しく思います。
●【ポイント】
行政書士資格を高校生の時期に取得することのデメリット
- 方向転換が困難になるためリスクが大きい
- じっくり社会経験を積む間がない
- 大学や専門学校に行きたい場合、大学受験の勉強時間が削られる
- 大学や専門学校の場合、就職難とはいえほとんどの人が就職できるが、社会経験のない高校を卒業してすぐの人が行政書士として営業するのは並大抵ではない
- 行政書士資格は、大学生でも・社会人でもいつでも取れるため高校生の間に取得する必要性に乏しい
- 独立開業するにしても若いうちでは融資も頼れないし、資金力に劣るため開業が困難
- 様々な業界の情報をつかみにくい
ざっとこんな感じです。
一つ一つが致命的になり得るデメリットです。
特に、一つ目の項目ですが、ここは重要です。
大学や専門学校に行けば2年ないし4年の猶予が生まれます。
その間、時間はない場合もあろうかと思いますが、その間様々な社会経験や人間関係を経験することができます。
じっくり自分の将来について考える時間もできますし、周囲には友人・知人・先生がいますから、相談相手は多数。
この場合、失敗しても方向転換はいくらでもできますから、非常にリスクの低い選択だと思います。
将来の見本となる人との出会いもあるでしょう。
ここは、大学に行った者の経験からすると、計り知れないほど大きな価値だと考えています。
大学時代の仲間は今でも酒を飲む仲ですし、僕の道徳観や考え方の基礎は大学時代に築くことができました。
早いうちに行政書士資格を取得して、開業・就職をされるのは自分のキャリアを考え大変立派な選択肢であると思います。
他方で、やはり、大学や専門学校も大きなメリットがある点は、一度考えてみる必要があると思います。
最後の項目ですが、高校生の10代の段階では、どのようにビジネスチャンスをつかみ、チャンスがあればどう動くか?この知識は決定的に足りません。(中にはすごい高校生もいますが・・・)
社会人になっても、ここを掴むのは容易ではありません。(ネット検索では得られませんからね)
行政書士も商売ですから、業界情報を得られる特殊な環境でない限り、かなり不利ではないかと思う次第です。
今、高校生の方へ まとめ
ネット上で見た話ですが、高校生の時期に、行政書士資格を取得しようと考えておられる方が少なくないのを見た時・・・正直ビックリしました。
将来を真剣に考えているのだな~と頭が下がる感じがしましたね。
ただ、その時、真っ先に思ったのが、『何も社会経験を積まず、やっていける業界ではないよ』という事です。
行政書士も独立すると一国一城の主ですから、その実質は起業と相違ありません。
広範な業務内容を有することから、常に新規開拓を意識した精神で挑めばビジネスチャンスはそこらかしに散らばっています。
ですが、ここを掘り起こすには、充実した社会経験は不可欠です。
もちろん、資金が潤沢にある場合や、業界情報が常に入ってくるごく特殊な環境、もしくは天才的な技術力がある場合や、そもそも知名度を持った方等は別です。
しかし、そうでもない限り、高校生で資格を取得し、卒業後ただちに参入するにはあまりにも厳しい業界だと思います。
大学生が『就職に有利かも』『やりたいことがないし資格でも』という気分で取得するのは全くリスクのない(いくらでも方向転換ができるため)ことですから、問題ありません。
しかし、高校生の場合は事情が違います。
学歴で将来が決まるわけではありませんが、大卒と高卒では進路の方向転換のしやすさが天と地ほども違うことは事実です。
『とりあえずやりたいことないし、国家資格でもとっとくか』という気分で高校生が一点集中するのはリスクが大きすぎますので、全くお勧めできませんm(_ _)m
高校生の段階で国家資格(行政書士資格等)を取得し突き進む場合、しっかり目的意識や将来のビジョンをもって挑む覚悟が必要だと思います。
そういう熱い情熱がある人であれば、ガンガン突き進めばよいでしょうし、僕も陰ながら応援させていただきたいと心から思います。
そういう情熱がなく、ただ惰性で取得を目指される場合は、心の底からお勧めできませんので、僕なら『もう少し考えたほうがいいんじゃない?』と言ってしまうでしょう。
高校生の段階で、行政書士資格やその他国家資格を取ってれば有利かなと思っておられる方は上記の点を踏まえて十分に自分自身と対話されることをおすすめします。