行政書士試験に独学合格した人が注意した教材選びの10ヶ条ルール【科目別・問題形式別編】
行政書士試験のテキスト・参考書などの選び方について、先日、全科目共通の総論的な記事を書かせてもらいました。
その記事の中で予告していた科目別のテキスト・参考書選びについて注意すべき点の話を、この記事ではしていこうと思います。
ベースは、あくまで、先日の記事ですが、ここは科目別に特に『留意しておくとよいよ』ということを書いていきます。
是非、こちらを参考に、失敗のないテキスト・参考書選びをしていきましょう!
INDEX
はじめに
こちらの記事は、行政書士試験でのテキスト・参考書選びで、科目別・問題形式別に特化したものです。
ベースは、下記の記事をご参照ください。
《関連記事》
『行政書士試験に独学で合格したい』人だけの《教材選び12ヶ条》【共通ルール編】
こちらの記事のベースの部分を守っていれば、テキスト・参考書選びでほとんど失敗することはないと思います。
ただ、念のため、科目別・問題形式別のポイントも書いてみました。
おまけとして、その他の教材『六法や予想模試etc///』についての選び方もザッと書いてあります。
それでは早速。
教材選びのポイント《科目別のテキストの選び方》
憲法のテキスト・参考書について
- 1)判例が充実していること
- 2)判例のポイントに強調線がちゃんと入っていること
- 3)判例の索引がついていると便利
- 4)判例の重要度がちゃんと分かること
- 5)重要判例の事案がちゃんと掲載されていること
- 6)《+α》判例と通説はどう違うか書かれていれば理解が深まる
- 7)《+α》判例の基準が厳しいか緩やかか分かるとなお良い
1)判例が充実していること
行政書士試験の科目である憲法はとりわけ『判例』が大切です。
判例の重要ポイントだけでなく、判旨が出来るかぎり多く長く掲載されている方が良いです。
この方が、判例の論理の流れがよくわかるので、しっかりした判例の勉強ができます。
例えば下記の図を見てみましょう。
線を引いているところが、重要なところですが、他の部分もあることで、全体の流れが分かり深い勉強ができます。
2)判例のポイントに強調線がちゃんと入っていること
先ほど見ていただいた判例の記述の画像ですが、こちらの判旨に線を引いております。
このように、判例の重要なポイントにちゃんと強調線の入っているテキスト・参考書を選びましょう。
3)判例の索引がついていると便利
例えば、問題集で判例に関する問題があったとします。
解説では、問題の回答に当たる判例の判旨が掲載されていたとしましょう。
この場合、『判例は他に何を言っていたかな~?』ときになったとき、テキスト・参考書に索引がついていれば一発で調べることができます。
これができれば、勉強がかなりはかどりますので、あれば便利です。
4)判例の重要度がちゃんと分かること
判例の重要度は大切です。
憲法に判例が無数に存在します。
そして、判例はその言い回しや、理論が非常に難解です。
ですから、全部やろうとすると自滅します。
行政書士試験との関係で、重要と言われる判例を集中的に勉強することが、ひとまず憲法を得意にする秘訣です。
勉強すべき知識で力の入れ具合にメリハリをつけるためにも、判例の重要度がはっきりわかるテキスト・参考書を選ぶべきです。
5)重要判例の事案がちゃんと掲載されていること
重要度の話をしましたが、その重要度が高い重要判例は、事案まで把握することが必須です。
憲法の判例は、事案の事実関係によって、結論が変わってくることがあるので一分の分野では、しっかり判例の事案を把握することが上達する秘訣になります。
例えば、事案での登場人物が公人なのか?一般人なのか?によって結論が違っていることがしばしばあります。
そう言う意味で、特に重要判例に関してはしっかり事案が掲載されているテキスト・参考書を選ぶことが重要です。
6)《+α》判例と通説はどう違うか書かれていれば理解が深まる
普通、法律の勉強をしていると、判例と通説が同じ見解とされることが多いです。
ところが、ちょくちょく判例と通説が違う時があります。
こういう場合、可能な限り正確に、判例と通説の違いを勉強しておく必要があります。
というのも、試験問題に判例を問う問題が出題されたとき、通説を判例として表記し、正誤を問うてくる問題は少なくありません。
こういう問題は間違えてはいけない問題である場合が多く、それへの対策として、判例と通説がどう違うか?が分かるテキスト・参考書が勉強しやすいです。
7)《+α》判例の基準が厳しいか緩やかか分かるとなお良い
憲法の判例は、その判断基準が非常に重要です。
判例が採用した判断基準が、厳しい基準なのか、緩やかな基準なのか、わかる表記があると非常に勉強しやすいです。
特に必須の項目ではありませんが、これがわかると勉強しやすいです。
行政法のテキスト・参考書について
- 1)概念の分類がひと目で分かり具体例がちゃんと書かれている
- 2)判例が充実し、その分類が分かること
- 3)他は憲法の《2)~7)》に共通
1)概念の分類がひと目で分かり具体例がちゃんと書かれている
行政法は、いろいろな法律の言葉がでてきます。
その概念をきっちり区別し、比較することで理解が深まります。
上のような図がきっちり書かれていて、分類されているテキスト・参考書の方が概念同士の比較がしやすく、勉強しやすいです。
ただ、全ての分野でこういう図がある必要はありません。
そして、概念の説明と同時に、その概念が当てはまる具体例の記載があると非常に理解しやすくなります。
2)判例が充実し、その分類が分かること
行政法では憲法と同様非常に判例が重要です。
憲法もそうですが、行政法の場合は、より判例同士の区別が大変です。
同じような言い回しの判例が多く、しかも事案もソックリでどこがどう違うのか意識しなければ、勉強が進みません。
項目の区別がしっかりされていて、判例がどの原理にぶら下がっているのかがわかる内容になっていると助かります。
『概念の分類がひと目で分かり具体例がちゃんと書かれている』で掲載した図を見てみましょう。
例えば、この図で、各項目がありますよね?
そして、ちゃんとその項目ごとに判例が整理されているテキスト・参考書の方が勉強しやすいということです。
3)他は憲法の《2)~7)》に共通
行政法は、憲法とよく似ていますから、憲法と同じように選ばば良いでしょう。
民法のテキスト・参考書について
- 1)どの条文のどの文言が問題になっているか分かる
- 2)条文の趣旨・文言の定義がひと目でわかる
- 3)典型事例は図解されていると良い
- 4)重要判例がちゃんと掲載されている
- 5)判例に沿った処理がちゃんと掲載されている
- 6)重要論点では反対説も軽く掲載されているとなお良い
- 7)複雑な知識を整理した表があると嬉しい
- 8)《+α》詳しい方が正義
1)どの条文のどの文言が問題になっているか分かる
民法の論点は、ほとんどが条文の文言から出発します。
ある事案があって、条文をそのまま適用すると結論が不当になってしまう。
だから、条文の文言を解釈で広げたり狭めたりして、妥当な結論を目指すのが民法の論点と言われる話です。
条文のどの文言がどのように問題になって、どう修正されているのか?が出来る限りはっきりと分かるテキスト・参考書が勉強しやすいです。
条文から始まり条文で終わるので、民法は条文命です。
2)条文の趣旨・文言の定義がひと目でわかる
ここは必須です。
記述対策として趣旨・定義が非常に重要になりますから、テキスト・参考書でしっかりした記述があると安心です。
特に独学で、行政書士試験に合格するためには、ここは譲れません。
3)典型事例は図解されていると良い
典型的な事例は図解があると嬉しいです。
独学で、民法に慣れるまでは、勉強中ガンガン図を書いて理解していく必要があります。
でも、全てを自分で書くのは時間を食います。
典型的で基本的なものであれば、図解が掲載されていると勉強も非常に楽になります。
特に民法は、事案が複雑なので、図の役割はでかいです。
4)重要判例がちゃんと掲載されている
憲法や行政法ほど判例の重要度は高くありません。
ただ、民法にもコレという重要な判例はありますから、ある程度しっかり掲載されているテキスト・参考書を選びましょう。
5)判例に沿った処理がちゃんと掲載されている
民法はいろいろな事例パターンが無数に存在し、たっぷり登場します。
同じような事案でも、少し状況が違っていて、それごとに結論が違ってくることがあります。
このような事案に応じた処理は、判例の処理パターンや結論だけ覚えれば、まずは合格点です。
6)重要論点では反対説も軽く掲載されているとなお良い
行政書士試験では、近年学説を問う出題がされています。
そう言う意味では、学説問題への対策として反対説を勉強するのが良いと思われます。(通説・判例は当然勉強するものですから)
ただ、この項目は、学説問題の対策になるからという理由で、選び方の基準として挙げたのではありません。
重要論点については、『判例・通説の理解を助けるために』反対説と比較するのが非常に大切だからです。
判例・通説の理解を助ける意味で、重要論点だけは、反対説の存在も大切です。
学説問題への対策
僕は特にする必要はないと考えています。
学説に関しては、判例・通説の深い理解で対応出来るときが多いです。
敢えて反対説を勉強するとすれば、反対説からの事案を処理したときにどういう結論になるのか?くらいで十分だと思います。
他は、模試や問題集で登場したところをやれば大丈夫でしょう。
7)複雑な知識を整理した表があると嬉しい
以前書いた記事にもある項目ですが、民法は特に知識の整理表が掲載されていると本当に助かります。
テキスト・参考書をパラパラめくって整理表が多ければ多いほど良い参考書と言えるほど。
最終的な復習の段階では、この整理表が死ぬほど役立ちます。
特に、瑕疵担保責任や多数当事者の債権債務関係のあたりは尋常でなく複雑なので、表があると助かります。
8)《+α》詳しい方が正義
結局、民法は知識が勝負です。
法的思考も膨大な知識に裏付けされて築かれていきます。
もちろん、法的思考も大変重要ですが、まずは知識をつけてから徐々に積み上がり磨かれていくものです。
なんでもかんでも調べることが出来るテキスト・参考書は相棒としてかなり心強いです。
商法(会社法)のテキスト・参考書について
- 1)判例よりも条文に重点が置かれている
- 2)複雑な条文が、スッキリ図解されている
- 3)あまり分厚すぎない
1)判例よりも条文に重点が置かれている
行政書士試験の商法・会社法は一に条文、二に条文です。
もう条文知識だけで十分と言えるくらい大切です。
商法・会社法のテキスト・参考書は、条文の解説に力が入っている方を選ぶべきでしょう。
2)複雑な条文が、スッキリ図解されている
商法・会社法は、条文が非常に複雑です。
できればスッキリまとめられているテキスト・参考書であると心強いです。
ここは民法とほとんど同じですね。
3)あまり分厚すぎない
行政書士試験での商法・会社法のウエイトは高くありません。
また、商法・会社法は、そもそもボリュームのある科目ですから、やろうと思えばいくらでもやることができます。
改正も頻繁であることを考えると民法以上に範囲は膨大です。
あまり分厚すぎず、ポイントを絞った必要最小限の知識を学べるテキスト・参考書がベストです。
特に独学で勉強される方の場合、真面目な人ほど『やりすぎる』傾向にありますので、気をつけましょう。
商法・会社法のテキスト・参考書は『いかに知識を絞られているか』がポイントです。
一般知識のテキスト・参考書について
- 1)詳しすぎず薄いもの
- 2)重要でよく出るものがひと目でわかる
1)詳しすぎず薄いもの
商法・会社法と同じように、一般知識についても、やろうと思えばどこまででも勉強できます。
勉強すべき箇所を絞るためにも、薄いテキスト・参考書の方が良いでしょう。
2)重要でよく出るものがひと目でわかる
一般知識への対策は、頻繁に出る分野を絞って、そこを深く勉強する方が効果的な対策ができます。
そういう分野がひと目で分かるテキスト・参考書の方が集中的に勉強しやすいです。
とりあえず、頻出分野を極めて、そのあとにほかのところを勉強していくのが効率的な対策だと思います。
まだまだ続く!さぁ次のページからは問題集の選び方へ♪